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菅新首相を突き動かす「団塊の世代」「ノン・エリート」の情念

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現代ビジネス

初の「団塊の世代」の自民党総裁

 新たに首相に就任した菅義偉氏には、近年の国会議員としては珍しい「異色」の経歴が注目されている。 【写真】安倍総理が恐れ、小池百合子は泣きついた「永田町最後のフィクサー」  「非世襲議員」「農家の長男」「集団就職で上京」「様々な職業を転々」「初の法政大学OB」「市議会議員出身」「党三役未経験」等々。もっとも、集団就職で上京したとする点は一種の「作り話」だとの指摘も出されているが、秋田県出身でありながら、縁もゆかりもなかった横浜から政治家人生をスタートさせたことや、衆議院議員の初当選が47歳と比較的遅咲きだったことなどは、自民党の国会議員としての菅氏の「異色」ぶりを強調するのに十分な逸話だろう。  だが、菅氏のもつ重要な属性があまり話題とされない。それは、菅氏が1948年生れで「団塊の世代」が生んだ初の自民党総裁であることだ。歴代の自民党総裁のうち、もっとも若いのは1954年生れの安倍晋三で、次いで1945年生れの谷垣禎一。麻生太郎や小泉純一郎は彼らよりも年長である。つまり自民党総裁は、これまで「団塊の世代」を避けて選ばれてきたのだ。  他方、菅氏以外の自民党の国会議員では、この世代は誰がいるのだろうか。思いつくところでは、国会でのトンチンカンな答弁が目立った北村誠吾前規制改革担当相、数々の失言で更迭された桜田義孝元五輪担当相、学芸員は観光振興のガンだと放言した山本幸三元地方創生担当相、「被災地が東北でよかった」と発言して辞任に追い込まれた今村雅弘元復興相などで、いずれも閣僚時代には言動が問題視された面々である。  申し訳ないが、すでに老境に入った彼らが今後、首相候補として浮上することはないだろう。おそらく菅氏が「団塊の世代」としては最初で最後の自民党総裁となる公算が大きい。

「団塊の世代」の政治家の特徴

 ただし、「団塊の世代」の首相は菅氏がはじめてではない。この世代に相当する首相経験者は、民主党政権の鳩山由紀夫と菅直人の二人である。東京都知事では、猪瀬直樹と舛添要一がこの世代に当たる。彼ら全員に共通するイメージは、直情径行で自己主張が強く、スタンドプレーを好み、それが原因でしばしば組織を混乱させ、いずれも1年余りで失脚を余儀なくされたことなどである。ちなみに異例の長期政権を維持している名古屋市の河村たかし市長もこの世代である。  これに前述した菅氏以外の自民党の団塊議員を重ねると、この世代の政治家を特徴づける何かが見えてこないだろうか。  そう。彼らに共通するのは、目立ちたがり屋で一見「独善的」と見えてしまう政治姿勢である。だから落ち目になった時、行き詰まりが早いのも、その特徴的なキャラクターゆえの「味方」の少なさと協調性の欠如が要因ではないか。  そう考えると、菅氏が同世代の政治家の中で、いかに「異色」であるか明白であろう。  まず菅氏には、これまで記憶に残るような失言や失態がない。官房長官として臨んだ記者会見でも終始仏頂面で、感情を表に出さず、守勢に入っても「その指摘は当たらない」の一点張り。サービス精神は片鱗も見せないが、そのかわり、記者相手に気色ばんで墓穴を掘ることも、世間ズレした物言いで反発を買う場面もほとんどなかった。  この点が、SNSの常連炎上者である鳩山・菅両元首相、パソコンが使えなくても困ったことはないと開き直った桜田元五輪担当相、会見の場で記者と怒鳴り合いを演じた今村元復興相などとは明らかに違う。  要するに、菅氏は他の同世代の国会議員とは正反対のキャラクターなのである。だから「敵」が少なく、以前より下馬評に上がっていた他の首相候補を押しのけることもできたのだろう。

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