F-35をドローンで代替? イーロン・マスクが「コスパ最悪」のステルス戦闘機に大なたか
ドローン関連のスタートアップには追い風に
先のポストが示しているとおり、マスクはドローン、とくにその大群の大ファンで、以前に「ドローンのスウォーム(群れ)による度肝を抜くような戦いがやってくる」と投稿したこともある。 ウォールストリート・ジャーナル紙がロンドンで主催した「CEOカウンシル・サミット」でも、マスクは「先進国同士、少なくともドローン能力を持つ国同士の将来の戦争は、まさしくドローン戦争になるでしょう」と発言している。 これは、アンドゥリルやシールドAI、パランティアといった、国防総省へのAI搭載システムの供給に関わっている企業にとって朗報のようだ。これらの企業はAI搭載の小型ドローンやその関連技術を手がけ、ドローン・スウォームにも対応している。既存のドローンと異なり、ドローンの群れは人間による最小限の監督で、大規模に協力し合う集団として活動できる。 こうした企業は伝統的な産業プレーヤーではなく、マスクの精神的な親類と言えるシリコンバレーのスタートアップであり、軍事分野に新しいテクノロジーをもたらすことを目指している。彼らは、自分たちに有利な方向に風向きが変わってきたと感じているかもしれない。 大量・低コストの小型ドローンが従来の航空戦力をどの程度補強したり、代替したり、あるいは取って代わったりできるのかは、まだ答えの出ていない問題だ。また、こうしたドローンは米国の請負業者によって製造された場合でも、手ごろな価格で取得できるのかという点も重要になる。ただ、ウクライナでの証拠からは、将来の戦争ではドローンがますます重要な役割を果たすことが示唆されている(小型ドローンがどのように世界を征服するかについて論じた本の著者として、ここにはある種のバイアスがはたらいていることを断っておく)。 ウクライナとロシアがそれぞれドローンを年間百万機以上調達しているのに対して、米国の購入数はまだ千単位だ。マスクの思いどおりになれば、将来の米軍はF-35の保有数を減らし、小型ドローンの保有数を大幅に増やすことになりそうだ。いずれにせよ、ひとつ確かなのは今後も議論が続くだろうということだ。国の安全保障がかかっているのは言うまでもなく、これほど巨額のプロジェクトでもある以上、誰も黙ってはいないだろう。
David Hambling