F-35をドローンで代替? イーロン・マスクが「コスパ最悪」のステルス戦闘機に大なたか
マスク「AIでステルスは無意味に」
Xは繊細な議論をするのに適したプラットフォームではなく、実際、続くコメントに十分な情報に基づくものはあまりみられなかった。F-35支持派もマスク支持派も考えが凝り固まっていて、互いに相手側の立場に立って考えてみるのは難しいようだ。 マスクのF-35批判はこう極まっている。「米国の兵器システムには、高すぎだけど良いものもある。でも、どうかお願いだから、F-35という軍事的なコストパフォーマンスが史上最悪のプログラムだけは終わりにさせてくれ!」 X上では、F-35、あるいはドローンで具体的に何ができるかについてもいろいろな会話が交わされたものの、あまり有益なものではなく、基礎的な知識が欠落しているコメントも多かった。では、ここで本質的な問題は何だろうか。 ■プロとコントラ F-35の開発は「紆余曲折があった」どころではない。この航空機は、遅延、コスト超過、技術的不具合など、際限がないと思われるほど多くの問題に見舞われてきた。米国防総省運用試験・評価局の年次報告書によると、このプログラムは計画より10年遅れ、予算は1800億ドル(約27兆円)オーバーし、「信頼性、整備性、可用性」に関しても依然として課題が残っている。 それでもプログラムは続いている。批判者からは、巨費が投じられ、代わりもないため「大きすぎてつぶせない」のだという声が上がる一方、これまでに1000機超が納入され、実戦で成功を収めてもいるのも確かだ。訓練演習やシミュレーションでもF-35の高い能力が示されていて、現実に即したテストシナリオで、撃墜された自機1機当たり敵機を20機撃墜したとも報告されている。 あらためて言うまでもなく、F-35は高価すぎて過大評価もされているのか、それとも不当に批判されているのかという議論は相変わらずかまびすしい。総額1兆ドル(約150兆円)を超えると見込まれるプログラムとなると、それも仕方ないのかもしれない。 マスクはなぜF-35に欠陥があると考えるのかをめぐる議論にはあまり踏み込まなかったが、機体をレーダに映りにくくするステルス設計の限界には言及している。 「戦闘機を撃墜するのは笑えるほど簡単。初歩的なAI(人工知能)と光感度の低いカメラを使うだけで『ステルス』なんてものは何の意味もなくなる。ステルス戦闘機は『見えない』わけじゃない」