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『のだめカンタービレ』なぜ愛され続ける名作に? “才能”に説得力を与えた上野樹里の表現力

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リアルサウンド

「音楽」や「才能」に説得力を与えた武内英樹の手腕

 また、「音楽」や「才能」に説得力を与えていたのは、演出を手掛けた『ルパンの娘』(フジテレビ系)、映画『翔んで埼玉』の武内英樹の手腕による部分も大きいだろう。  鮮やかな色合いでかわいいワンピースを着ているのも、「頭からかぶれて楽だから」であり、ゴミだらけの部屋で、ボサボサ頭でグランドピアノを弾くのだめ。「汚部屋」も、のだめの「ダメ人間っぷり」も、生々しい汚さではなく、ポップで可愛い色使いで描かれることにより、おとぎ話や童話に出てくる妖精(妖怪?)のような印象を与える。  視聴者に近づきすぎない距離の取り方もまた、「音楽」や「才能」を信じさせてくれる、エンタメとしての美しいハッタリとして効いていた。  その一方で、後半に入り、のだめの才能が際立ってくるにつれ、どんどん孤独になり、自身の「好きなこと」「やりたいこと」と乖離していく展開はしんどかった。天才ゆえの孤独を描きつつも、「好きなこと・やりたいこと」と「向いていること・才能」となかなか合致しないことは、多くの人も経験したことのある悩みだろう。  さらに、巧みだったのは、シリアスになっていく展開の中で描かれた、コンクールのシーン。  千秋先輩と一緒にヨーロッパに行くため、コンクールに挑戦するのだめが、会場に向かう途中のバスの中で聴いた「きょうの料理」の旋律が、演奏曲であるストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」と混ざってしまう。このシーンは原作にもあるのだが、実写化することにより、音楽が自然に混ざり合うことが何より説得力を持ち、おかしさや恐ろしさが混とんとした状態になって、のだめの「鬼才」ぶりを際立たせていた。  視聴者に納得感を与える武内英樹のエンタメ性高い巧みなハッタリと、視聴者の想像をはるかに超えていく高次元での上野樹里の咀嚼力と表現。その二つが混じり合うことにより、難度の高い「音楽モノ」のドラマを、とてつもなく魅力的な作品に昇華させることができたのではないだろうか。 ※記事初出時、一部に記述の誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

田幸和歌子

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