山の遭難件数は過去最悪 “ヘリの捜索サービス”に密着【WBSクロス】
富士山の山梨県側のルートで山開きを迎え、本格的な登山シーズンに入りましたが、実は山での遭難者の数は現在、過去最悪の状況となっています。山岳遭難に対応するため、山で命を落とす事故を防ぐ取り組みが広がっています。 年間20万人以上の登山客が訪れる富士山。1日、山梨県側の登山道「吉田ルート」が山開き初日を迎えました。雨が降る中でも登山客がやってきました。山梨県は5合目にゲートを設置し、この日から1人当たり2000円の通行料の徴収を始めました。 支払った人にはリストバンドを配布。夜通しで山頂を目指す、いわゆる弾丸登山などが問題になっているため、登山者数を制限する狙いです。 「今回の規制が実効性あるものになって、しっかり皆さんが安全な登山ができる環境になれば良いと期待している」(山梨県富士山保全・観光エコシステム推進監の岩間勝宏さん) 実は去年、全国の山岳遭難者は3568人と統計を取り始めてから最悪の状況となっています。登山のルールを知らない訪日外国人の相談件数が増えていることも原因です。先月には3人の登山者が富士山火口で遺体で見つかるという事故も起きました。
ヘリでの捜索に密着
遭難で命を落とす人を減らす取り組みが進んでいます。京都の民間ヘリポートでは、パイロットが上空から遭難者を探す訓練を行っていました。 確認しているのは、遭難者捜索サービス「ココヘリ」です。通常は登山者が携帯するココヘリの発信機を今回はヘリポートの敷地に設置。その発信器との距離をココヘリの受信機で測り、遭難者を探しているという形です。 「370、360、370ですね。(距離が)増加したので、丸いところぐらいから旋回してもらって、それで戻りましょう」 「おおむね、あの建物あたりだと思います。これでサーチ終了にします」(ココヘリ捜索チームの川上晋さん) フラッグのある場所が発信機の場所。つまり、遭難者がいる場所だと特定できました。訓練は無事に成功です。 実際のケースでは遭難者を見つけ次第、公的機関にすぐに位置情報を伝えます。ココヘリの仕組みでこれまでに164件の捜索が実施されました。