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「日本のデシャンボー」は女子ツアーに現れる? トップコーチが考えるゴルフと飛距離とトレーニング

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みんなのゴルフダイジェスト

第120回「全米オープン」をただ一人のアンダーパーで優勝したブライソン・デシャンボー。ツアー中断期間中の極端な肉体改造により、圧倒的な飛距離アップに成功。その飛距離と、ラフにも負けないパワー、そしてパワーアップしたにも関わらず繊細さを失わないショートゲームで全米オープンのタイトルをつかんだ。この衝撃的肉体改造をコーチはどうとらえるか? 日本のトップコーチ・井上透に聞いた。

デシャンボーの影響は「5年後」に出てくる?

「(弾道計測器)トラックマンの使用が一般化してきて、その恩恵を受けることは普通のことになっています。さらに、地面反力の測定など、運動解析も一般化。その中で、唯一自分でなんとかできるのがフィジカルなんです。もちろんアメリカでは、みんなフィジカルを鍛えています。デシャンボーがすごいのは、みんながやってることを“圧倒的”にやったことだと思います」(井上透、以下同) PGAツアーを見渡すと、下腹の出た“おじさん体型”で参戦する選手はほぼ皆無。みんな、鍛え上げられたアスリートボディでツアーを戦っている。フィジカルトレーニングは常識。しかし、ごく短期間で見た目がガラッと変化するほど極端に行う選手はいない。デシャンボー以外には。 その背景には、ゴルフ界で昔から言われる筋トレの「やり過ぎ」への危惧があると井上は指摘する。ショートゲームの繊細が失われたり、飛びすぎてその分曲がりが大きくなっては本末転倒だという考え方だ。 「筋トレをやり過ぎてはまずいんじゃないかと多くの人は思っています。だから筋トレは、ほどほどにして今の筋力でマックスの飛距離を出すという意味で、バイオメカニクスや地面反力、クラブの動き(の解析)というところの最大化をする努力をしています」 デシャンボーは、弾道計測機を2台同時に使用し、練習ラウンドにも持ち込むなど、クラブの動きや弾道の解析を誰よりも徹底的に行う。そして、コーチはバイオメカニクスの専門家であるクリス・コモ。誰もがやることを誰よりも徹底的にやり、さらに圧倒的な肉体改造という賭けにも見えるチャレンジも成功させた。それが、全米オープンでの圧勝劇につながっているのは疑う余地がない。 肉体改造を成功させ、飛距離を伸ばし、同時にスコアも出すためには、専門家集団のサポートが必須だと井上は言う。 「短期間で、他の分野に目立つ悪影響を及ぼすことなく飛距離を伸ばしたことがすごいんです。悪影響が出る人もきっといると思いますし、コーチの立場から見ても短期間で大きな変化を起こすことに怖さもあります。体の変化とゴルフの変化を密に観察する必要がありますし、相当な専門家集団が必要だと思います。しかし、こういう結果を見せられると、『こういうケースもあるんだ』という考えに至りますね」 では、このあとデシャンボーに続いて肉体改造によって飛距離を伸ばす選手が表れるのだろうか? 「デシャンボーのハンドアップで構えるアドレスから始まるスウィングは、腕や胸の筋肉が巨大化しても腕の通り道に邪魔にならない、そういう意味では同じことをやっても同じ結果にならない可能性が大きいです。それはワンレングス(全番手同じ長さ)のアイアン、アップライトでアームロック式のストロークで打つパッティングでも同じです。ルール内でブルーオーシャンを見つけメリットとして取り入れる。他の選手は真似しようとしてもフィーリングが優先されて誰もやろうとしてもできないんです。これこそ他のプレーヤーが誰も真似できないデシャンボーだけの己の道なのだと思います」(井上透) このように、現時点でプロレベルのプレーヤーが真似することは難しいが、ジュニアゴルファーに与える影響は大きいと続ける。 「現代のプロは、クラブのフィッティングやスウィングの微調整により1年で数ヤードづつ飛距離を伸ばして来ていますが、5年後に出てくるようなジュニアゴルファーにとっては、飛距離のアドバンテージは大きなものに映ったと思います。その頃には軒並みすごい飛距離を持った選手が現れるのではないでしょうか」(井上透) では、やがては日本ツアーにおいてはデシャンボーのようなプレーヤーが現れるのだろうか? 「やはり日本のコースの特性上、かなりの精度がないと難しいですよね。飛び過ぎるとデメリットになるコースも多いのは否めません。それと、選手をサポートするチームについては、どうしてもコストがかかるので男子よりも女子ツアーのほうが可能性はあると思います。ショートゲームや体の使い方、スウィングやマネジメントなど専門分野を持つコーチが、選手たちにシェアされて指導を受けるというカタチになってくるのではないでしょうか」(井上透) 日本にもデシャンボーのような型破りなプレーヤーが現れるか、注目だ。

みんなのゴルフダイジェスト編集部

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