「人生の墓場に入ったとずっと思っている」。厚労省の職員や退職者の叫びと改革への動き
3つの提言とは
若手チームは、人手不足や組織的・構造的課題によって個人のモチベーションや組織のパフォーマンスが下がるだけでなく、劣悪な労働環境によって不祥事や離職者が生まれるといった「負のスパイラル」に陥っているとし、こう指摘する。 「一番の不利益を受けるのは、何よりも厚生労働行政を必要とし ている、我々が最も価値を届けたいと思っている国民なのである」 「このような現状と決別し、厚生労働省こそが、職員のを踏まえ、健康と家族のことを多様な生き方やキャリア十分に考えて、徹底した時間・業務管理を行い、どのような働き方であっても実績に応じて評価され、処遇され、自分が目指すキャリアを追求できるような組織を目指さなければならない」 こうした調査を踏まえ、若手チームは、主に以下の3つの提言をした。 (1)業務の集約化・自動化・外部委託のほか、国会業務の効率化、ICT技術の活用による生産性の向上 (2)人事制度の改革 (3)「暑い・狭い・暗い・汚い」オフィス環境の改善 91ページからなる提言書を受け取った根本厚労相は、若手チームの職員らに対してこう述べた。 「アンケートなどで集まった職員の声を重く受け止めたい。対応するよう指示したい」 「厚生労働行政は国民に密着している。前向きに頑張ってもらいたいと思います」
中央省庁全体で事態は深刻
2016年には安倍晋三首相が、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置。 厚労省だけでなく、中央省庁全体で職員たちが劣悪な労働環境下で働いているため、対策を進めようとしているが、大きな効果を見せていない。 霞が関国家公務員労働組合共闘会議によるアンケート結果によれば、2017年に33時間まで減った月平均残業時間が18年には36.9時間に再び増加し、9.8%が過労死ラインで働くなど、事態は深刻だ。 若手チームの代表で、厚生労働省人事課の久米隼人課長補佐は、BuzzFeed Newsに「組織内ではもどかしい、情けないと思う状況がある」とし、こう語った。 「なぜ職員たちが厚生労働省に入ったか。それは、困ってたり苦しんでたりする国民の生活をより良くしようと思ったからです。若手たちがこうして取り組んでいるのは、組織を改革することで国民に価値を届けるためです。変えないといけないと思っています」