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星出彰彦宇宙飛行士、スペースXの宇宙船で2021年春に宇宙へ - ISS船長に

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マイナビニュース

宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは2020年7月28日、星出彰彦宇宙飛行士が、スペースXの「クルー・ドラゴン」宇宙船運用2号機(Crew-2)に搭乗して国際宇宙ステーション(ISS)に向かうことが決まったと発表した。 【写真】ISSにドッキングするクルー・ドラゴンDemo-2 打ち上げは2021年春の予定で、星出宇宙飛行士はISSの船長を務める。日本人宇宙飛行士がISSの船長を務めるのは、若田光一宇宙飛行士に続いて2人目となる。 クルー・ドラゴン宇宙船 クルー・ドラゴン(Crew Dragon)は、米国の宇宙企業スペースX(SpaceX)が開発している有人宇宙船で、ISSへ宇宙飛行士を輸送することを目的としている。 NASAはかねてより、ISSへの物資補給と宇宙飛行士の輸送を民間企業に担わせる計画を進めており、宇宙飛行士の輸送では、スペースXとボーイングの2社を選定。両社はNASAから資金提供や技術支援、そして安全審査を受けつつ、それぞれ宇宙船の開発を進めている。 NASAは老朽化したスペース・シャトルを退役させたあと、高額な運賃を支払ったうえで、ロシアの「ソユーズ」宇宙船を使って、ISSへ宇宙飛行士を輸送している。そのため、これら民間宇宙船の実用化は、ロシア依存からの脱却という点で重要な意味をもつ。また、民間の宇宙ビジネスを振興する目的や、NASAがISSより先の、月や火星への深宇宙ミッションに注力できるようにする意図もある。 スペースXのクルー・ドラゴンは、2019年3月に無人での試験飛行「Demo-1」を実施し、宇宙飛行やISSとのドッキングなどの試験に成功。また2020年1月には、飛行中のロケットから緊急脱出する試験にも成功した。 そして2020年5月31日には、2人の宇宙飛行士を乗せ、有人での試験飛行「Demo-2」が打ち上げられた。現在も宇宙船と宇宙飛行士はISSに滞在しており、8月2日に地球に帰還する予定となっている。 このDemo-2が無事に成功すれば、その後はNASAとの契約に基づいて、定期的な宇宙飛行士の輸送ミッションが始まることになっている。 その運用1号機「Crew-1」には、マイケル・ホプキンス宇宙飛行士(NASA)、ヴィクター・グローヴァー宇宙飛行士(NASA)、シャノン・ウォーカー宇宙飛行士(NASA)、そして日本の野口聡一宇宙飛行士(JAXA)が搭乗することになっている。打ち上げは今年9月以降に予定されている。 そしてNASAとJAXA、欧州宇宙機関(ESA)は7月28日、Crew-1に続く2回目の運用ミッション「Crew-2」に搭乗する宇宙飛行士として、シェーン・キンブロー宇宙飛行士(NASA)、メーガン・マッカーサー宇宙飛行士(NASA)、星出彰彦宇宙飛行士(JAXA)、トマ・ペスケ宇宙飛行士(ESA)の4人を選んだと発表した。 打ち上げは2021年春ごろの予定で、この4人はISSの第65次長期滞在クルーとして、ロシアのソユーズで打ち上げられる他の3人の宇宙飛行士とともに、約半年間ISSに滞在する。 なお、Crew-2のカプセルには、現在Demo-2で宇宙を飛んでいる機体(愛称「エンデバー(Endeavour)」)のものが再使用される。 クルー・ドラゴンのカプセルはもともと再使用を前提に造られているものの、以前NASAは、主に安全面から、有人飛行においてカプセルの再使用を認めていなかった。そのためスペースXは、無人補給船型のドラゴンに再使用する一方で、有人飛行には毎回新たに製造したカプセルを用いるとしていた。ただ、Demo-2の打ち上げ後、NASAは方針を変え、有人飛行でもカプセルの再使用が認められることになった。 クルー・ドラゴン運用2号機に搭乗する宇宙飛行士 キンブロー宇宙飛行士は1967年生まれの53歳。2004年に宇宙飛行士候補として選ばれ、2008年のSTS-126ミッションにミッション・スペシャリストとして参加し、ISSに滞在したほか、船外活動(EVA)を実施した。2016年にはロシアのソユーズでISSにふたたび赴き、第49/50次長期滞在クルーとして、また第50次長期滞在クルーの船長も務めた。今回が3回目の宇宙飛行で、クルー・ドラゴンCrew-2の船長も務める。 マッカーサー宇宙飛行士は1971年生まれの48歳。2000年に宇宙飛行士候補に選ばれ、STS-125ミッションで初めて宇宙へ飛び立ち、ハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッションに従事した。今回が2回目の宇宙飛行で、Crew-2のパイロットを務める。 星出宇宙飛行士は1968年生まれの51歳。1999年に日本人宇宙飛行士候補として選抜され、2001年に宇宙飛行士に認定された。2008年にSTS-124ミッションで初の宇宙飛行を行い、ISSにおいて「きぼう」日本実験棟の取り付け作業などを実施。さらに2012年にはソユーズでふたたびISSを訪れ、宇宙実験やISSのメンテナンスなどを行った。Crew-2が3回目の宇宙飛行であり、ミッション・スペシャリストを務めるほか、第65次長期滞在クルーの船長も務める。 ペスケ宇宙飛行士は1978年生まれの42歳。2009年にESAの宇宙飛行士候補として選ばれ、2016年にソユーズでISSへ飛行。第50/51次長期滞在クルーを務めた。今回が2回目の宇宙飛行で、Crew-2のミッション・スペシャリストを務める。 今回のCrew-2搭乗決定に関して、星出宇宙飛行士は「米国のスペース・シャトル、およびロシアのソユーズ宇宙船という、ともに歴史と実績のある宇宙船への搭乗に加え、今回新しい技術やコンセプトで開発された民間宇宙船に搭乗できることは楽しみでもあり、同時に新しい時代の到来を肌で感じております。コロナ禍で世界中が大変な中、これから訓練も本格化しますが、引き続きご支援いただきますようよろしくお願い申し上げます」とコメントしている。 参考文献 ・NASA Announces Astronauts to Fly on SpaceX Crew-2 Mission | NASA ・JAXA | JAXA星出彰彦宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在 搭乗機決定について ・ESA - Thomas Pesquet first ESA astronaut to ride a Dragon to space ・星出彰彦:JAXAの宇宙飛行士 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA 鳥嶋真也(とりしましんや) 著者プロフィール 宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。

鳥嶋真也

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