〈物流の鉄道貨物モーダルシフトへの道〉カギは国際海上コンテナの鉄道輸送への取り込み
国際海上コンテナの鉄道輸送化のターゲット
そこで、表1.の15カ所の貨物ターミナルが属する都府県と同都府県に所在する国際コンテナ港湾の間のコンテナ貨物流動を輸出入別にまとめてみると、下表の通りとなった。 この表2.からは、宮城県・茨城県・栃木県と京浜港間、東京都・神奈川県と名古屋港間、東京都・愛知県と大阪港間、熊本県・宮城県と博多港間等で、かなりのコンテナ貨物が動いていることが読み取れる。その30~40パーセントが工場や物流センター等の荷主施設と直結したコンテナ輸送であると推測される。 JR貨物がモーダルシフトのターゲットとすべきなのは、これらの国際海上コンテナ貨物流動の鉄道輸送への取り込みではなかろうか。 これらの中には、茨城県・栃木県と京浜港間、熊本県・宮城県と博多港間等のような同地方内のコンテナ貨物流動が含まれており、鉄道輸送≒長距離輸送と考えると、鉄道輸送には不向きとの意見もあるかも知れない。しかし、世界には、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郊外の鉄道ターミナルとロサンゼルス港およびロングビーチ港を結ぶ32キロメートルの鉄道路線であるアラメダ・コリドーや、タイのレムチャバン港とバンコク郊外のラッカバンICDを結ぶ118キロメートルの鉄道輸送等、短いが太い鉄道コンテナ輸送も存在していることに注目すべきであろう。 日本におけるモーダルシフトと鉄道コンテナ輸送が進むべき途とは、荷主施設に直結した国際海上コンテナ輸送の取り込み通じて、トラックドライバーが手待ち時間も荷役時間も発生させずトレーラーだけを運ぶ〝ドロップ&プル〟方式を含む積み替え無しのインタクト輸送を鉄道コンテナ輸送にも拡張・定着させることだ。そして速さや重さや高さなど輸送限界に対応するコンテナ用貨車(コキ車)開発の長年にわたる挑戦の成果も生かしつつ、積み替えによる余分なコストとリードタイム、貨物事故のリスク等を排除し、日本の貨物輸送の全体最適化を中長期的に実現していくことではなかろうか。
田阪幹雄