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ネアンデルタール人も海産物採取か、ポルトガルの洞窟に貝塚

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The Guardian

【記者:Nicola Davis】  初期人類ネアンデルタール人は魚、カニ、ムール貝などを食べ、沿岸の環境をフル活用していたとする発掘調査をまとめ、現生人類と、その近縁種ネアンデルタール人との類似点を明らかにした論文が米科学誌サイエンスに掲載された。これまで海洋資源を利用するのは、現生人類の特徴と考えられてきた。  ネアンデルタール人の遺跡の多くではこれまで、海洋資源の利用は、散在した貝殻など小規模でしか見られていなかった。しかし今回、考古学者らが発掘したポルトガル沿岸の洞窟で、ムール貝やカサガイを含む巨大かつ構造化された堆積遺物が発見された。10万6000~8万6000年前のものと見られている。  研究者らは、今回の発見は、ネアンデルタール人が体系的に海産物を採取していた証拠だと指摘している。貝塚の一部の層には、貝殻の密度が1立方メートル当たり370キログラムと高いものもあった。このような規模および方法での海洋資源の利用はこれまで、解剖学的な現生人類の特徴だと考えられてきたため、わくわくする発見だと研究者らは述べている。  論文の共同執筆者であるスペイン・バルセロナ大学のジョアン・ジルヤオ教授は、現生人類とネアンデルタール人が非常に似ていたことを示唆する調査は増え続けており、今回の発見もこれに加わると説明した。  現生人類が生存競争でネアンデルタール人を駆逐した要因の一つは、現生人類の食生活には海産物が多く、脂肪酸が豊富だったために認知能力が高かったというものだが、今回の発見は、その説に疑問を投げ掛ける結果だ。  ジルヤオ教授は、「現生人類にとって(海産物が)重要だったなら、ネアンデルタール人にとっても重要だったはず。もしかしたら、海産物にはそこまでの重要性はなかったのかもしれない」としつつ、いずれにせよ、海岸沿いに暮らしていた現生人類は少ないと述べた。  論文によると、今回新たに発掘された遺跡(ネアンデルタール人が居住していた時代には、海岸線から2キロ弱に位置)には、石器、焼かれた植物、馬や鹿、さらにはウナギ、サメ、アザラシ、カニ、水鳥などの骨が大量に残されており、ネアンデルタール人が多様な食生活を送っていたことがうかがえる。  ジルヤオ教授は、今回の発見はネアンデルタール人の漁業活動にも光を当てたと話し、「10~20キログラムもの貝を手に持って2キロも運べない」として、ネアンデルタール人は籠もしくは袋を持っていたはずだと述べた。  ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)考古学研究所でネアンデルタール人を研究するマシュー・ポープ博士(今回の調査には関与していない)は、重要な発見だと話す。 「ネアンデルタール人の行動は洗練されたものだったことがますます分かってきた。アフリカにおける現生人類の行動進化をずっと特徴付けてきた一点は、海洋資源な体系的な採取の始まりで、これが、現生人類とネアンデルタール人を分ける違いだった」と述べ、「今回のような証拠は、ネアンデルタール人が海洋資源を体系的に利用する能力があったことを示すという意味で重要だ」と述べた。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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