「最後にチャンスをつかめて」馬場咲希、悲願の米シード獲得で涙の理由 異例ルートでの挑戦で夢かなえる
◆米女子ゴルフツアー最終予選会 最終日(10日、アラバマ州・マグノリアグローブGCクロッシングC) 悪天候で順延された最終第5ラウンド(R)の残りが行われ、山下美夢有(みゆう、23)=加賀電子=が通算27アンダーでトップ通過した。馬場咲希(19)=サントリー=は通過ラインぎりぎりの24位で滑り込み、涙のシード獲得。岩井千怜(ちさと)が2位、岩井明愛(あきえ、ともに22)=ともにホンダ=が5位、吉田優利(24)=エプソン=が9位で、日本勢は5人が24位タイまでの来季米ツアーの出場権を獲得。来季の日本勢は今季の9人を更新し、過去最多の13人となった。 運命を分けるパットが放たれた。最終18番、馬場は8メートルのバーディーパットを強い気持ちで転がした。思いを乗せたボールがカップに落ちると、右手でガッツポーズ。大粒の涙もこぼれ落ちた。4バーディー、2ボギーの70で24位。結果的に外せば敗退となっていた最終プレーで、悲願の米ツアー切符をたぐり寄せた。「最後にチャンスをつかめてうれしい。何回も心が折れかけたけど諦めずに、最後にバーディーが取れて良かった」と目を真っ赤にした。 暫定21位で再開した最終日は、11番で70センチのパーパットがカップ右縁に蹴られて3パットのボギー。13番で4メートルのバーディーも、15番で再びボギーをたたいた。「しんどく、つらい(後半の)9ホールだった」。一度は圏外に押し出され、「スコアが落とせない位置だったから、一打一打がすごく苦しかった」と両手で顔を覆う場面もあった。 米国にこだわった。高校2年の22年6月に全米女子オープンに初参戦し、米国でプレーする思いを強くした。同8月に全米女子アマチュア選手権を制覇。23年11月に日本のプロテストに一発合格したが、同年の国内予選会を受けずにプレーの場を米国一本に絞った。昨年は最終予選会を通過できず、今季は米下部のエプソンツアーを主戦場とした。 大会に出ても、ギャラリーは「ほぼいない」という状況。同ツアーで一度2位に入ったが、ポイントで及ばず来季のレギュラーツアー昇格を逃し、最終予選会に回った。「つらいことが多かった。絶対にLPGA(全米女子ゴルフ協会)ツアーに行きたかった。その気持ちがバーディーにつながった」と力強く語った。 憧れは世界ランク1位のネリー・コルダ(米国)。「来年はLPGAの試合で、もっと成長した姿を見せられるように」。日本を経由せずに、夢をかなえた19歳。規格外のショット力と異国でもまれたタフさを武器に、本当の挑戦がこれから始まる。 ◆米女子ツアーの出場資格 ツアーは来年1月末~12月まで35試合組まれ、賞金総額は1億3100万ドル(約200億円)以上。一部を除き、各試合の出場人数は120~150人程度。出場優先順位は前年の年間獲得ポイント上位80人が最も高い(カテゴリー1)。24年の例では、TOTOジャパンクラシック優勝の竹田はカテゴリー7。今回の予選会組は、ポイント81~100位の準シード組より低く、カテゴリー14となるため、優先順位は137番目以降になる見通し。 ◆馬場 咲希(ばば・さき)2005年4月25日、東京・日野市生まれ。19歳。5歳の時、父・哲也さんの影響でゴルフを始める。19年の全米女子アマチュア選手権で日本人2人目の優勝。23年11月のプロテストに一発合格。今季は米下部ツアーを主戦場とした。176センチ、62キロ。家族は両親と姉、妹2人。
報知新聞社