岸田政権の提案する「節電ポイント支援策」への疑問 高橋洋一が指摘
数量政策学者の高橋洋一が6月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府が方針を示した農産品や電気代の価格上昇への対策について解説した。
岸田総理、農産品価格や電気代への対策方針示す
エネルギーや食料価格の高騰が続くなか、政府は「物価・賃金・生活総合対策本部」の初会合を開き、岸田総理は農産品の価格上昇の抑制や実質的な電気代の負担軽減に向けた対策を行う方針を示した。 飯田)小麦などの食品の原材料や肥料、飼料なども高騰しており、それに対しても対応策を出すとのことです。 高橋)個別価格に対して減税でやるか、補助金でやるかということになります。経済学のセオリーからいくと、見えやすくてわかりやすい減税で行うのが普通です。しかし、なぜか自民党は補助金で対応するということです。
疑問が残る「節電へのポイント支援策」
高橋)電力ひっ迫や電気料金の高騰を緩和するために、一般家庭の節電に応じてポイントを付与する仕組みをつくるということですが、私は冗談だと思っていました。本気ではないでしょうと。 飯田)ポイント付与については、前々から言われていましたよね。 高橋)本気なのだということで、笑ってしまいました。これでどのくらい節電できるのかと言うと、年間1000円~2000円の間、1500円程度です。これに対するポイントということは、それより小さいはずなので、「一体何なのか」という感じです。おかしくないですか? 飯田)大した額ではありませんね。 高橋)節電効果が大きいのならわかりますが、大したことはありません。そのぐらいの節電でしたら、既存住宅を断熱改修した方が効果があると思います。補助金を付ければ簡単にできてしまうので、ますます不思議で仕方ありません。 飯田)既存住宅の断熱改修を促進することで。
家庭での節電は1世帯で1ヵ月100円程度にしかならない
高橋)「家庭の節電でポイント付与」ということをマスコミは報道しますが、これで「いくらなのか」という話を一緒にすればいいのに、しません。普通に考えれば1年間1000~2000円ぐらいなので、1ヵ月100円程度のレベルです。 飯田)節電と言っても限界がありますよね。 高橋)限界があるものなので、ポイントを付けてもたかが知れているのです。節電効果と同じポイントを付けたとしても、月に100円くらいのレベルなので、1日数円程度で何とかしようというのは、間違っているのではないかと思います。 飯田)金額に落とし込んでくると、「あれ?」という話になりますね。1世帯で月に100円程度ですから。企業向けには一定の割合で電力会社が買い取る仕組みの導入を検討するということですが、どこまでできるのかという感じですよね。 高橋)1000億円くらいになれば大きな金額ですが、それでも予算としては小さいですよね。誰かに調べてもらって「予算規模はいくらですか?」と質問し、その額を報道するべきだと思います。先ほどの節電効果からすれば、それほど大きな予算を付けられるはずがないのです。 飯田)省エネなんて、それこそオイルショックのときから日本ではずっとやり続けていることでもありますし、断熱改修などをやらないとなると、できることは限られてきます。