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千代田区長、マンション購入疑惑で暴走 小池都知事の責任は

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週刊金曜日

 2017年2月の区長選挙で、小池百合子東京都知事が「ともに東京大改革を進めるのか後退するのか」と訴えて全面支援した都内千代田区の石川雅己区長(79歳)がマンション購入問題で揺れている。元東京都職員で港湾局長などを歴任した石川氏は、地権者らに優先提供される「事業協力者住戸」を区長が優遇的に購入した問題を、地方自治法第100条(都道府県や市町村の事務に関する当該自治体の調査権を規定)に基づく「百条委員会(企画総務委員会)」に追及され、区長の証言が偽証だとして刑事告発をする議案も可決されると、石川氏は「告発は区長不信任に当たる」として議会解散を通知したのだ。  だが区長が区議会を解散できるのは不信任決議を受けた時であるため、千代田区議会議員25人が「暴挙」と猛反発、7月31日には解散通知は無効とする提訴に踏み切った。同日午前の記者会見で高市早苗総務大臣が「告発の議決が不信任決議を意味するとは考えにくい」と発言。同区選挙管理委員会も「解散は無効」と表明したが、石川氏は同日午後の囲み取材で「解散が有効かどうかを決定できるのは司法の場」「総務省の見解は一般論」と反論し、考えを変えなかった。そのため同日17時前には前記区議25人全員が東京地裁を訪れ、解散通知について執行停止を求める仮処分申請、および無効確認を求める訴訟を起こした。 「一刻も早く石川区長の違法、不当な状態を取り、区政が正常に動くようにするために提訴した」と同区議会の小林孝也議長は筆者の質問に対して説明した。「石川区長は『身分はない。議員でない』と言い続けているので、自分たちの身分を早く回復させ、政治的な空白を作らないということです」  私が「解散は区長の疑惑隠しと見ているのか」と聞くと「百条委員会を続けさせないとの意思が働いているのかと思う」「私たちは『区政が区民のためのものであるかどうか』をただしていくため疑惑の真相解明を行なっている。『許せない暴挙である』と感じた区議25人が全員一致で提訴に踏み切った」と小林氏は強調した。 【「東京大改革」の成れの果て】  小池知事が3年前の区長選挙で「東京大改革」を掲げて石川氏を応援したことについても聞くと、小林氏は「私どもは千代田区の街づくりがちゃんとした形で区民のためになるように取り戻す。それに『東京大改革』が合致していれば一緒にやっていく」と答えた。  だが実際には「東京大改革」と真逆のマンション購入疑惑が石川区政で起きたわけだ。舞台は三井不動産レジデンシャルが販売した同区三番町のタワーマンション。一般には販売されない事業協力者住戸を、なぜ区長が優先的に購入できたのかという疑惑が浮上。7月8日の百条委の議事録には、区長と事業者の間に癒着関係があったのではと指摘がある。 (1)同物件の建築に際し都より適用条件が厳しくない区の総合設計制度を適用し、区長が特定行政庁として許可し容積率を緩和した件。 (2)区長の長男が区長夫妻と共有名義で購入、後に売却し結果的に相当額の利益を得た三井不動産レジデンシャルが販売したパークコート富士見ザ・タワーが区の指導で容積率を約2倍まで緩和した件。 (3)「東京ミッドタウン日比谷」の大規模再開発にあたり、区が広大な区有地とその上に建築された建築物を「日比谷エリアマネジメント」に無償で貸し付けた件。  以上三つの事例を示しつつ前記三番町の物件の建築、購入時期と重なる時期に行なわれたこれらの事業執行の見返りに、「事業者側からの優遇を受けたのではないかとの疑いが拭いきれません」(はやお恭一議員)と同議事録にある。  知事お墨付きの「東京大改革」を進めた千代田区で不動産業者との癒着疑惑が浮上していたのだ。石川区長を全面支援した小池氏には当然連帯責任が生じる。しかし7月31日の会見で小池知事は「区の動向を見守っていく」と他人事のように答えただけだ。直系区長の癒着疑惑が今後どこまで真相解明されるのかが注目される。 (横田一・ジャーナリスト、2020年8月7日・14合併号)

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