繊細な「HSPさん」ほど、モラハラのターゲットになりやすい⁉ 「変わってくれると思ったのに…」と、何度も裏切られるのはナゼ?
自分がHSPのモラハラ被害者だとわかった
『夫が大きな声で私を怒鳴る時、私の思考は完全にストップします。とにかく大きな音や声が子どもの頃から苦手なのです。夫の大声やドアを大きな音で閉める音も、テーブルを叩く音も全て恐怖なのです。怖すぎて何も考えられずに、夫の行動がおかしいとは考えられずに、ただその場から離れたいという思いで私は謝り続けるのです。 私が謝れば夫は怒らない、私が「自分が悪い」と言えばこの状況から解放される、その思いがいつの間にか全て自分が悪いんだという方向に変わってしまうのです。自分が悪いから夫は怒り出す、怒らせる自分はいけない人間なんだ。夫に申し訳ない、私は生きる価値がないのに夫が私を養ってくれている、夫に感謝しないといけない、夫のために私はできること全てして尽くさないといけない。夫が私に罵声を浴びせた後、泣いて謝る時もありました。こんな姿を私に見せるなんて辛い思いをさせた、私がこの人を幸せにしないといけない。そう心から信じていたのです。』 HSPの傾向のあるモラハラ被害者の方は、モラハラ夫に心理操作されやすい傾向あります。ですからモラハラ夫の意味のわからない攻撃にでさえ、自分が悪い、夫を怒らせないようにもっと頑張らないといけないと考えてしまうのです。 これはモラハラ夫の得意なガスライティングという心理操作がなせる技なのです。妻が現実に起きている状況を湾曲して捉え、自信を失わせ、自分自身を疑わせる行動です。 例えば、「お前が悪いから怒るんだ」「そんなこともできないのか!」といった言葉を繰り返し聞かされることで、妻は自分に非があると思い込んでしまうのです。 その上、モラハラ夫から批判や否定を受け続けていることで自己肯定感が更に低くなります。自己肯定感が低いと、自分は間違っていないと自分を正当化する考えができないのです。そして自己肯定感の低さは、自分のことを必要としてくれる人は誰もいない、自分は価値がないと思ってしまうので現状から抜け出す勇気が持てないのです。 モラハラ夫が泣いて謝ると、その気持ちに共感し感情移入してしまいます。ですからモラハラ夫の言葉を信じ、この人がここまで泣いて謝っているのだから許さないといけない。この人を悲しませることは罪だと思うのです。 HSPのモラハラ被害者のかたは、自分が悪い、だから夫から離れることは裏切りになると思うのです。 相手の気持ちを慮ることができるだけに、モラハラ後に夫が謝罪したり泣かれたりすると、ついつい許してきてしまったKさん。ただ、それがモラハラをさらに悪化させる結果となってしまっていたという、HSPとモラハラの関係についてお伝えしました。 ▶ 続きの【後編】では、夫にどんなひどいことをされても離婚する決心ができなかった理由とは? HSP気質があることもあり、自分が受けているモラハラを友人や実家の家族にも相談できずにいたKさん。これ以上傷つかないためにKさんがとった行動とは?
モラハラ/HSP専門カウンセラー 麻野祐香