無敗ミランを撃破!ユヴェントスの全課題を解決した“魔法石”パウロ・ディバラ
ミラン、インテル、ローマ、ナポリ、ユヴェントス……順位表の上5チームの顔ぶれに、セリエAを長く見てきた方は感慨深いものがあるだろう。特に2010-11シーズンにスクデットを獲得したのを最後に長らく低迷していたミランの再興は、ライバルチームのファンであっても、どこかホッとする部分がある。 ■【動画】パウロ・ディバラの絶妙ヒールアシストから1点目が生まれたミラン対ユヴェントス戦■ しかし、この5チームの中には不安を感じているティフォージもいる。ミランが最後にスクデットを獲得したシーズン以降、9連覇を達成しているユヴェントスが5位に甘んじているのだ。 アンドレア・ピルロが新監督に就任したユヴェントスは、ここまで14試合で1敗しかしていないものの、6つの引き分けで12ポイントを取りこぼしていた。 2ボランチがビルドアップ時に狙われると攻撃が停滞してしまうことや、ウイングバックの裏を突かれると一気に深くまで侵入を許してしまうことが度々問題になっていたが、この首位との大一番でユヴェンティーノたちは胸をなでおろすことになった。 3-1での勝利で、ミランに今シーズン初黒星をつけることに成功した。鍵はユヴェントスの10番・パウロ・ディバラだった。 この試合のディバラは、2トップとして出場しながら、あえて2ボランチの位置まで下がってボールを受ける場面を多くしていた。ボールが回ってこないことに嫌気がさして下がってきてしまうパターンではなく、チームとしての先述の課題を解決するための動きだった。
2ボランチが狙われて攻撃が停滞してしまうのは、ウイングバックの選手がそのラインに留まってボールを受け取らないといけなくなってしまうからだ。パスコースを失ったボランチが安全にボールを回して作り直すには、ウイングバックとセンターバックが加わって三角形を作らなければならない。しかしそのために両翼が低くなると、攻撃が機能しなくなる。それを解決するために、ディバラが下がってきてボールを受けた。 ディバラはプレスに負けずにキープできるだけでなく、単独で剥がして前に進むことも、大きなサイドチェンジを蹴ることもできる。これによって、手詰まりになりかけたチームを再び動かすことが可能になった。 また、そのディバラの動きは、可変システムのウイングバックという難しいポジションで、アタッカーとしての才能を発揮しなければならないフェデリコ・キエーザを見事に輝かせることにも繋がっていた。 1点目は、サイドでボールを持ったキエーザがサポートにきたディバラに一旦ボールを預け、そのキープ力を信頼して一気にペナルティエリアに向かって走ったところに、ディバラから期待通りのヒールパスでリターンがきて勝負あり。ウイングバックが攻め上がったタイミングでボールを失えば大ピンチを招くことになるが、ディバラは失わない、という信頼が思い切りの良い攻めに繋がった。