「心配の時代」に響く『インサイド・ヘッド2』。監督とプロデューサーに聞く歴代最高ヒットの理由
「心配の時代」に、本作のヒットを2人はどう見るか
―いま、私たちは先行きの見えない「不安」や「心配」の時代を生きています。そんななか、本作は「心配」という感情を描き、時代の精神や人々の無意識に触れたことで、世界的な大ヒットとなったのかもしれません。世界的な成功の理由を、おふたりはどのように考えていますか? ニールセン:おそらくいくつもの要因がありますが、いまおっしゃったことは最も大きな理由のひとつだと思います。現在の私たちがいかに「心配」し、そして自らの「心配」について語り合っているか……。 9年前、『インサイド・ヘッド』は人生における「悲しみ」とその価値に関する深いメッセージを描き、大きなインパクトを与えました。ですから、現在の観客があの世界に戻り、いまのライリーが何と戦うのかを見たがっていたところもあるでしょう。「楽しいエンターテインメントを見たい、同時に自分自身や自分の気持ちについても学べたらいいな」と。前作『インサイド・ヘッド』と、作品に対する皆さんの愛情も成功の一因だと思います。 マン:私も同意見です。もうひとつ付け加えるとしたら、それはこの映画が、多くの人々が感じていること、しかし実際には語りにくいことを正面から描いているからかもしれません。「私もそう思っていたけれど、口にするのは怖かった」ということを代弁しているところがあると思うんです。 『インサイド・ヘッド』の世界には、そうしたテーマを誰もが共感できるよう、普遍的なかたちで表現できる力があります。世界中の方々が本作に反応してくださいましたが、「普遍的」とは、私たちには数え切れないほどの違いがあるけれど、互いに似ている部分もたくさんあるということ。人間にはさまざまな感情があり、だからこそ類似点と相違点を見つけられる。それはとても美しいことだと思います。
インタビュー・テキスト by 稲垣貴俊 / 編集 by 今川彩香