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クラスターの老健、感染者の入院難航 認知症で断られた例も 熊本県山鹿市

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熊本日日新聞

 熊本県山鹿市の介護老人保健施設「太陽」で起きた新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)を巡っては、介護が必要な感染者の入院先確保が難航した。認知症を理由に入院を断られたケースもあり、高齢者の集団感染に対応する難しさが浮き彫りになった。  太陽は同市の医療法人回生会(水足秀一郎理事長)が設置しており、96床。7月26日、職員の感染が最初に確認された後、次々と陽性が判明し、感染者は計49人(入所者37、職員12)に上った。  陽性と判明しても入院先が決まるまでは施設内にとどまるため、太陽は感染者を2階に集めて、陰性の入所者と生活空間を分離。感染者は、防護服を着た職員が介護した。  県内で感染者の入院先を調整する新型コロナウイルス感染症対策県調整本部(事務局・県医療政策課)によると、入院先は各保健所が管内で確保し、受け入れ先がなければ同本部が見つける。  太陽の場合、山鹿保健所管内の病床不足や、徘徊[はいかい]によって感染防止が難しい認知症が影響して難航。感染した入所者37人中30人が管外に入院したが、搬送は最大でも1日に6人にとどまり、最も長い人は太陽に5日間待機した。一時的に系列のグループホームで待機し、入院まで9日要した人もいた。

 同課は「認知症の感染者は体制の整った医療機関でなければ受け入れられないため時間がかかった」と説明。入院先を分散させる必要もあったという。  太陽の山下亮一施設長(69)は「受け入れが難しい医療機関の事情も理解できる」とした上で、「陽性者が施設にとどまる状態は症状悪化や感染拡大を防ぐため避けたかった」と説明。感染判明時は無症状だったが待機中に熱発し、38度を超えた感染者もいた。  高齢者のクラスターでは4~5月、札幌市の施設で入院先が調整できずに11人が死亡する事態に。厚生労働省は5月、老健施設などの入所者は「重症化するリスクが高い」として、感染者を速やかに入院させるよう都道府県などに通知した。  県老健施設協会の山田和彦会長(72)は「高齢者のクラスターが起きると地域医療に大きな負担がかかり、医療、介護の崩壊につながる。感染が分かったらすぐ入院できる仕組みが必要」と指摘。県医療政策課は、認知症の感染者の受け入れが可能な医療機関の把握など対策に努めている。(河内正一郎)

 ◆新型コロナウイルス感染者の入院施設 県内では感染症指定医療機関など36施設が受け入れており、病床数は最大400床。中等症、重症患者を治療する重点医療機関が県北、県央、県南、天草に1カ所ずつある。病床稼働率が最も高かったのは8月6日の39%。

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