「国防に必要」「攻撃の標的になる不安ある」 徳之島空港で空自F15戦闘機4機が離着陸訓練 県内空港初、住民ら複雑な心境
自衛隊統合演習の一環で航空自衛隊F15戦闘機が13日、鹿児島県天城町の徳之島空港で離着陸訓練をした。他国からの攻撃で自衛隊基地が使えなくなった想定で、4機が着陸後すぐに離陸する「タッチ・アンド・ゴー」をした。県内空港での戦闘機訓練は初めて。 【写真】〈別カット〉白煙を上げて、着陸後すぐ離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を訓練する航空自衛隊F15戦闘機=13日、天城町の徳之島空港
午後3時半ごろ、1機目がごう音を立てて飛来。コックピット下の前輪を浮かせ、後輪のみで着陸し、約2秒間滑走し飛び立った。その後、3機が数十秒間隔で同様に訓練した。南日本新聞が空港の展望デッキで測定した騒音は最大106.9デシベル(直近での自動車のクラクションに相当)だった。 徳之島空港は滑走路の長さ約2000メートル、幅45メートル。1日14便の定期便が使用する。展望デッキには多くの住民らが集まり、訓練の様子をスマートフォンなどで撮影した。 徳之島町の無職太良春吉さん(75)は「いつ攻撃を受けるか分からない世界情勢。いざという時に訓練の成果を発揮してほしい」。横浜市の会社員清俊彦さん(60)=同町出身=は「国防に必要な訓練と感じた」としつつ、「自衛隊がいると攻撃の標的になる不安は多少ある」と複雑さをにじませた。 訓練に反対する市民団体約15人は、横断幕やのぼり旗を掲げ抗議した。伊仙町の無職富純一さん(70)は「島民を戦争の準備に慣れさせようと訓練したのか。一連の訓練で公共の施設が使えず迷惑している」と反発した。午前11時ごろにはE2C早期警戒機1機も着陸し給油。いずれの航空機も那覇基地から飛来した。
政府は昨年改定した安全保障関連3文書で自衛隊による民間空港や港湾の利用拡大を明記。防衛省によると、今回の訓練は四国沖で侵攻する航空機や艦艇に対処した後、徳之島へ退避し那覇に戻る想定だった。 戦闘機の訓練は13日、大分県の大分空港でもあった。徳之島では15日に2回目を、奄美空港(奄美市笠利)では17~19日にそれぞれ実施する。 徳之島では輸送機オスプレイなどを使った砂浜への上陸、日米の輸送機からパラシュートで畑に降下する訓練なども予定する。自衛隊統合演習は全国で自衛隊約3万800人、米軍約1万200人を動員する。
南日本新聞 | 鹿児島