中国不振で背水の資生堂 一部ブランドの撤退・縮小も検討 利益目標引き下げ
資生堂は29日、中国事業の不振などによる業績悪化を受けて、2026年までの新たな経営計画を発表した。中国事業と免税品販売などの「トラベルリテール事業」の売り上げはマイナス成長を前提とし、本業のもうけの割合を示すコア営業利益率の目標を、従来計画の「25年に9%」から「26年に7%」と引き下げた。主力の化粧品ブランド「SHISEIDO」「クレ・ド・ポーボーテ」など主力8ブランドに投資を集中する一方、それ以外のブランドは今後、収益性・成長性を精査して撤退や縮小も検討する。 ■藤原社長「危機的状況」 記者会見した藤原憲太郎社長最高執行責任者(COO)は「危機的状況からの脱却を図る。正念場となる2年間だ」と述べ、背水の陣で業績改善に取り組む姿勢を示した。 資生堂は、中国事業とトラベルリテール事業の低迷で24年1~9月期の連結純利益が前年同期比96%減の7億円と落ち込み、24年12月期は純利益が72%減の60億円、コア営業利益率3・5%を見込む。 業績の立て直しに向けた新計画は、ブランド基盤の強化と強靭な収益体質への構造改革が柱となる。 ■ブランド力を再強化 具体的には、抱えている多数の化粧品ブランドの位置づけをSHISEIDOなど売上高が1千億円を超える中核3ブランドと、日焼け止めの「アネッサ」など成長分野と位置付ける5ブランド、撤退・縮小の検討対象のブランドの3つに分類。26年までの2年間は従来のマーケティング投資額に300億円上積みし、中核と成長分野に重点配分することでブランド力を再強化する。 特に中国事業は、現地ブランドとの競争や消費者の節約志向で苦戦しているSHISEIDOについて、クリームや乳液といった強みのある領域の付加価値を戦略的に高めると同時に、4月から現地に新設したブランドチームを通じた消費者ニーズの迅速な把握で抜本的に商品力をてこ入れする。 一方で、収益構造の改革のため人件費などの固定費を25年に200億円超、26年に250億円削減するほか、原価低減や保有資産のスリム化も推進。損益分岐点の引き下げと財務基盤の強化にも取り組む。 これにより、為替影響を除いたベースで年平均3%の売り上げ成長とコア営業利益率7%を達成し、「ブランドへの再投資可能なバランスの取れた収益構造の実現を目指す」(藤原氏)という。