2017年になっても終わらない 都内イベント会場不足“2016年問題”
都内にある競技場やホールが、一斉に改修・建て直しを始めています。これは、2020年の東京五輪に合わせた動きです。都内各所にあるホールやイベント会場の建て替え・閉鎖が相次いでいることから、都内のイベント会場は一時的に不足状態に陥り、芸術団体や音楽関係者たちは開催場所の確保に四苦八苦しているのです。会場の不足は、関係者たちの間で“2016年問題”と呼ばれて悩みの種になっていました。 東京五輪の思わぬ余波? 音楽業界を直撃する「2016年問題」 会場の多寡やイベント・公演の回数は、都市の芸術・文化を量るバロメーターでもあります。また、産業・学術振興においても、関係者が一堂に介する会議場やホール、講堂は必要不可欠です。会場不足という事態を受け、都も問題解消に乗り出しています。
東京五輪開催決定から、相次ぐ施設の閉鎖・改修
東京都を中心とする首都圏には、たくさんのイベント会場があります。東京ドームや味の素スタジアムといったスポーツ施設でもコンサート、フリーマーケットなど多種多様なイベントが開催されます。毎日のようにイベントが催されている東京ですが、2020年の東京五輪の開催が決定したあたりから、ホールや劇場、いわゆる“ハコモノ”の閉鎖・改修が相次ぐようになりました。 2008(平成20)年には新宿コマ劇場、2010(平成22)年には東京厚生年金会館が閉鎖されています。また、2015(平成27)年から渋谷公会堂の建て替え工事が始まり、2019年まで休館する予定になっています。そのほか、日本武道館や国立代々木競技場第一体育館なども建て替えを理由に長期閉鎖を予定しています。 これらの閉鎖・改修は五輪を理由にしたものばかりではありませんが、2015年頃から一斉にイベント会場が使用できなくなりました。イベントが開催できなくなると、東京からはにぎわいが喪失し、文化や産業の衰退を招きます。「イベント会場が不足することは、2015(平成27)年頃より文化・芸術を振興する各団体からも指摘を受けていました。各団体から要請を受けて、舛添要一都知事(当時)は対応を急いでいました」と話すのは、都生活文化局文化振興部事業計画課の担当者です。