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久保利明九段、芸術的な駒さばきと粘りでタイトル戦に挑む!

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HOMINIS(ホミニス)

現代の振り飛車党第一人者と言えば久保利明九段だろう。タイトル獲得7期、棋戦優勝6回でトップ棋士の一角として長く活躍している。 【写真を見る】王座戦五番勝負に挑む久保利明九段 前期順位戦ではA級陥落の憂き目にあったものの、今年8月には第68期王座戦挑戦者決定戦で渡辺明二冠を破り、久しぶりのタイトル挑戦を決め、存在感を見せた。 ■トップ棋士として活躍を続ける強さの秘密 トップ棋士の大半が居飛車党であるが、久保は数少ない振り飛車党。他にも振り飛車党のトップと言えば菅井竜也八段もいるが、菅井も奨励会時代から久保に鍛えられてきた。両者は将棋ソフトによる研究が台頭する中で、ソフトの評価が低い振り飛車で活躍する貴重な存在だ。アマチュアには振り飛車党も多く、大舞台で振り飛車の将棋を見たいファンの期待を一身に背負っている。 久保の代名詞は「さばきのアーティスト」で、芸術的な駒さばきが持ち味だ。振り飛車は飛車、角、銀、桂の攻め駒をさばくことが醍醐味とされており、押さえこまれそうな中盤戦でも見事に駒をさばいていく。現在は四間飛車を指すことが多いが、三間飛車、中飛車、向かい飛車、角交換振り飛車など振り飛車なら何でも指しこなす。これまでは美濃囲いで戦うことが多かったが、王座戦の挑戦者決定戦では耀龍(ようりゅう)四間飛車を採用するなど、新境地も開いている。 また、相手が振り飛車党の時は居飛車で迎え撃つことも多い。逆を持っての振り飛車退治もうまく、振り飛車の巨人、故・大山康晴十五世名人を髣髴とさせる職人芸だ。 しかし、久保の最大の武器は強靭な終盤力だろう。寄せの鋭さ、諦めない粘りで、数々の大勝負を戦ってきた。「粘りのアーティスト」と呼ばれることもあり、振り飛車党らしい腰の重さも併せ持つ。やはり終盤の強さがなくてはトップ棋士として活躍を続けることはできない。 ■永瀬拓矢王座との王座戦五番勝負に注目が集まる 久保も8月で45歳となり、すでに立派なベテランの域だ。初めてタイトル戦に出たのは2000年度の棋王戦五番勝負で、20年に渡って活躍を続けている。また、藤井聡太二冠と複数回戦って勝ち越している(3勝2敗)数少ない棋士で、敗れた将棋も持ち前の粘りで藤井を苦しめている。 現在は長女が女流棋士を目指して研修会で戦っており、各種アマチュア大会でも上位に進出している。将来は親娘棋士として、イベントで見られる日が来るかもしれない。将棋を指す子を後ろで見守る親は多いが、もしそれが久保だったらさぞかし対戦相手も驚くことだろう。 王座戦五番勝負は9月3日に神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で開幕する。永瀬拓矢王座とは、久保から見て1勝4敗となっている。五番勝負で顔を合わせるのは初めてだ。戦型は永瀬の居飛車に久保の振り飛車で、ガッチリ組み合う持久戦が続くだろう。久保は粘り強いが、永瀬も千日手や持将棋の指し直しすら厭わない長期戦タイプ。どちらが勝つにせよ、手数が長くなることは間違いない。タイトル戦に振り飛車党が出場するのは久しぶりで、居飛車対振り飛車の見応えあるねじり合いが楽しみだ。 文=渡部壮大

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