「パパ」という言葉に違和感…しかし、ロールモデルになる覚悟を感じた『元女子高生、パパになる』
トランスジェンダーで、東京レインボープライドの共同代表理事を務める杉山文野さんのエッセイ『元女子高生、パパになる』が出版された。 歌舞伎町のゴミ拾いのボランティアで出会って以来16年、杉山さんの歩みを見続けてきた手塚マキさんが、本書への思いをハフポスト日本版に寄稿しました。 【文:手塚マキ 編集:毛谷村真木/ハフポスト日本版】 -----------------------
初のエッセイ『ダブルハッピネス』(講談社)から14年、杉山文野のその後の軌跡がつづられた『元女子高生、パパになる』(文藝春秋)が出版された。 文野との出会いは、初エッセイ出版のさらに2年前、いまから16年ほど前。私が立ち上げた「夜鳥ノ界」という歌舞伎町のゴミ拾いをするボランティア団体のHPに、文野がメールをくれたのだ。 それをきっかけに、グリーンバードなど、ほかのゴミ拾いのボランティア団体の視察に一緒に足を運び、さらにそこで長谷部健さん(現渋谷区長)や左京泰明さん(シブヤ大学創設者)と出会い、ともに社会について考えたり、飲んだりしてきた。
とにかく私と文野は酒をよく飲むので、いろんな場所でいろんな人たちと飲んで、結局最後には二人になっている…そんな16年間だった。 新刊『元女子高生、パパになる』出版前に文野から、本書には私に関する記述がないと報告があった。「今日を迎えたのも、いつだって相談にのってくれたまき兄のおかげです」とあとがきに書けと命令したのですが、「あとがきで編集者などに感謝を述べるのって本当ダサいと思っているんですよね~」と強烈に拒否られた。 文野は映画『冷たい熱帯魚』のでんでんのように私を透明な存在にした。そして私は、もう消えているのに『シックスセンス』のブルース・ウィルスのようにずっとアドバイスをし続けていたみたいだ。 …と、そうやってどうでもいい話から、物事の核心に迫っていくというのが、新宿面倒くさい系だ。文野の14年間は知っているが、一応読んでみた。一応。 ここからは個人的な考察だ。