決勝最年少で優秀賞に 館山の原田さん 都の起業コンテストで(千葉県)
東京都が主催する起業プランコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2020」で、館山市佐野の原田そらさん(17)のプランが優秀賞に選ばれた。決勝大会に残った10人の中で最年少の栄誉で、起業家や投資家などのサポートを受けながら事業化に向けて歩みを進める。
「400字から世界を変える」を掲げ、テクノロジーやモノづくり、ソーシャルイノベーションなど分野を超えて若い起業家を輩出するコンテスト。平成26年に始まり、これまで90人以上の若者が起業、事業化した実績がある。今年は、全国1476件の応募があった。
原田さんは、同市の旧神戸小、房南中卒業後、木更津高専で情報工学を専攻する3年生。昨年の台風15号でのボランティア活動で、被災者や地域内外の多くの人と触れた経験をきっかけに、「地域の未来に自分もできることはないか」と、システム開発の優れた能力を生かし、事業プランの考案に挑戦した。
テーマは、幼少期から身近にあった農業の課題解決。今年4月に、ITの突出した技術力やアイデアを持つ若者を発掘する都内民間企業のプログラム「すごうで」に選定され、約半年間かけてアドバイザーの支援や地元農家へのヒアリングを重ねてきた。
受賞したプランは、生産物を育てる過程や、担い手不足などの社会課題を「体験型レジャー」と再定義し、農業の地域性や体験の潜在性に光を当てたアプリケーションの開発。都内でIT企業に勤める子育て中の家族をユーザーに想定し、一過性の体験ではなく、種まきから収穫まで年間を通して農家の営みに参加することで、人と地域が関係を育むプラットフォームを提案した。
審査員から「耕作放棄地の解消、関係人口の創出、販路拡大などのゴールが明確」などと評価を受け、見事優秀賞に輝いた。賞金は50万円で、今後事業資金として活用する。
「つわものぞろいの中で、確信がなかったこともあり、受賞できてとてもうれしい。決意を新たに、将来的にはサービス化を目指していきたい」と原田さん。並行して総務省が主催する「高専ワイヤレスIoTコンテスト」で、高齢者が災害時に情報を収集・発信するための「電子ペーパーによる、IoTかわら版」の開発案が採択されており、来年初旬に同市富崎地区で実証実験が行われることになっている。
房日新聞