むしろ2024年にピッタリ! ホンダ・インサイト アウディA2(2) 軽く小さいクルマは走りも楽しい
軽いホットハッチのような走り 高い洗練性
アウディA2は、エンジンを始動させると古さが表面化する。75psを発揮する1.4L 3気筒ディーゼルターボは、冷間時の振動が激しい。故障かと心配したくなるくらい。1.4Lと1.6Lのガソリンエンジンも選択できたが、燃費では遥かに有利だった。 【写真】発売は「25年」早かった? ホンダ・インサイト アウディA2 こんな挑戦的なモデルもありました (136枚) 油温が上昇すると、徐々に滑らかになるが、ガラガラというディーゼル・ノイズは消えない。魅力の1つとして、考えられなくもないけれど。 発進させると、出だしは若干鈍いものの、1800rpmを超えると勢い付いてくる。最大トルクは19.8kg-mと太く、スルスルと速度を乗せていく。車重が軽いため、むしろ想像以上に速い。特に中間加速は、ひと回り大きいアウディも驚かせられるだろう。 正確にゲートを選べる好感触な5速MTを駆使し、パワーバンドを保てば、軽いホットハッチのよう。3速、4速と気持ち良くシフトアップしていける。 ディーゼルエンジン以外、洗練性も高い。優れた空気抵抗のおかげで、風切り音は最小限。タイヤやサスペンションからのノイズも抑えられ、長距離の疲労感は小さそうだ。 対するホンダ・インサイトは、荷室で車外からのノイズが反響し、ややうるさい。60km/hを超えると、特にロードノイズが耳につく。 加速力も、A2には届かない。ハイブリッド・パワートレインの最高出力は77ps。車重は軽いが、最大トルクが11.4kg-mと細いからだ。新車時、ホンダは1.5Lエンジン級の加速だと主張したが、少し誇張していたようだ。
今でも不満なく機能するホンダのハイブリッド
一方、滑らかに回るエンジンは静か。電気モーターがシームレスにトルクを補完し、早めに1段上のギアを選んでも目立った問題は生じない。5速MTのシフトレバーは軽快に倒せ、ダイレクト感も強い。無駄に変速したくなる。 燃費優先にプログラムされたシフトインジケーターが、1600rpm前後でシフトアップを促す。これに従っていると、パワーの物足りなさを感じる。 アイドリングストップ機能も優秀。1速に入れると、即座に3気筒エンジンが目覚める。現在では当たり前の機能だが、1999年には先進的に受け止められたはず。 燃費にも唸る。先に試乗していた同僚のマット・プライアーは、28.3km/Lを達成したと自慢していたが、当時のオーナーは日常的に35.0km/Lで乗れていたとか。A2の現実的な燃費は21.0km/L前後で、開きは大きい。 ホンダがIMAと呼んだインサイトのハイブリッドは、今でも不満なく機能する。駆動用バッテリーを最新仕様に置換すれば、現行の小型車にも問題なく対応できそうだ。 と、それぞれの特徴を持つ2台だが、運転が楽しいという点で見事に共通している。車重が2tを超えつつ、電子技術の効果で機敏に身をこなすバッテリーEVとは、まるで違う楽しさがある。