熊本県警巡査の自殺、母「謝罪があれば戦ってきた意義があった」…県警が控訴断念で
熊本県警玉名署に勤務していた巡査の自殺と長時間労働の因果関係を認めた熊本地裁判決で、県警が控訴断念を表明した18日、巡査の母(64)は報道各社の取材に「これまで謝罪も説明もなく、終わったことのような扱いだった。県警から(直接の)謝罪があれば戦ってきた意義があったと思う」と振り返った。 【写真】熊本県警察本部
4日の熊本地裁判決では、巡査は同署刑事課での勤務が始まった2017年春から約5か月間、国の過労死ライン(月平均80時間)を超える時間外労働をしていた。当直時間帯を含めると最長185時間に及んでおり、同年9月に自ら命を断った。
母は、裁判をするつもりはなかったが、遺品を届けに来た同署幹部の「責任ある仕事はさせていない」という言葉に絶望し、22年5月に提訴した。
県警の宮内彰久本部長は18日、「ご遺族に対しては心からお悔やみ申し上げる。判決内容を重く受け止め、働きやすい勤務環境の構築に努めて参ります」とのコメントを発表。県警によると、巡査が勤務していた17年は、署の当直時帯の勤務を時間外労働の「断続的な勤務」として扱っていた。働き方改革の一環で、20年4月から当直帯の勤務を正規の労働時間に含める運用に変更したという。県警は遺族に直接、謝罪をする方針。