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新10番が世界で知った頂。柏U-18MF田村蒼生は『すべてをサッカーのために』

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ゲキサカ

[2020シーズンへ向けて](※柏レイソルの協力により、電話取材をさせて頂いています)  通用した感覚はあった。手応えも掴んだ。それでも、世界の舞台はさらに想像以上のモノを自らに教えてくれた。「ワールドカップに行く前までは、正直『すべてをサッカーのために』というほどの意識はなかったんですけど、他の国の同じ世代の人たちがあんなに必死にやっているのを見て、刺激を受けたというか、『もうこれじゃ足りないな。甘いな』と痛感しました」。サッカー小僧を地で行く柏レイソルU-18の新10番。田村蒼生(3年)が目指す頂は、まだまだ険しく高いがゆえに、登りがいがあることへ疑いの余地はない。  1年時からプレミアリーグEASTで切り札的に起用され、国内トップレベルでの経験を積み重ねた上で臨んだ昨シーズン。意欲十分にスタートしたものの、少しずつ想像と現実にギャップが生まれる。「『今年は自分が引っ張るぞ」という感じだった中で、練習でケガして、第6節のジュビロ戦で初めてベンチ外になって、そこでもっと自分が大人になってやることをやれば良かったんですけど、ちょっと自分の中でメンタルが落ちてしまって。『もっと自分はできるのに』みたいな気持ちがあって、うまくいかなかったですね」。  一度はレギュラー落ちを味わいながら、夏過ぎには再びスタメンを奪取すると、意外な知らせが届く。U-17日本代表への選出だ。「正直、代表というのはそんなに意識していなかった中で初めて呼ばれて、もちろん嬉しかったですけど、ちょっとビックリというか、『わ~、入っちゃった』みたいな感じでした(笑)」。だが、持ち味の重なる選手が少なかった影響もあり、『わ~、入っちゃった』と感じていた田村は、U-17ワールドカップのメンバーに選出される。  世界デビューは初戦のオランダ戦。後半35分。アップエリアへ声が掛かる。「もう出たくてうずうずしていて、呼ばれた時はメッチャ嬉しかったです。アレは鳥肌モノでしたね」。2戦目のアメリカ戦、3戦目のセネガル戦ではスタメン起用され、ラウンド16のメキシコ戦でも途中出場。全4試合に登場し、キレのあるドリブルで勝負し続けた。 「公式戦の世界大会は初めてだったので、『どれだけできるかな』と思って行ったんですけど、普段は緊張するタイプなのに、そういう気持ちもあまりなくて、素直に楽しめた大会でした。負け方的には悔しいというより、本当に心残りなんですけど、できるだけ連動していくようなサッカーの中で、自分が凄く生きる所でポジションをもらったので、あの経験は凄く大きいなと思います」。そして、ブラジルのピッチは新たな気付きを与えてくれた。 「ワールドカップに行く前までは、正直『すべてをサッカーのために』というほどの意識はなかったんですけど、他の国の同じ世代の人たちがあんなに必死にやっているのを見て、刺激を受けたというか、『もうこれじゃ足りないな。甘いな』と痛感しました」。4試合を通じてシュートはゼロ。ここに自身の課題を見出す。「ボールを取られないだけじゃなくて、自分ではがして、ゴールに直結する“結果”を出さないといけないなと。最後の所で仕事をできるようになりたいなと思いました」。ある意味で“結果”がすべて。その意識は心の内側に強く刻まれている。  切れ味勝負のドリブルは、以前から目を惹くものがあった。自らもそのストロングには自信を持っている。「小学生の頃は基本的に足の速さで抜くような感じだったんですけど、中高と上がっていく中で、みんな体格も良くなって、足も速くなってきますし、そこで飛び抜けたスピードは出なくなったので、次は技術かなという感じで、ちょっとずつ変えていった感じです。中3か高1の時に自分の中で『このタイミングだな』みたいな、自分の中で間合いが感覚的にわかってきて、その頃から言われていた判断の部分の成長がうまく重なって、今の良いプレーに繋がっているのかなと思います」。  最近気になっているのはマンチェスター・シティのベルナルド・シウバ。自身との共通点も感じている。「タイプが似ているなと。抜くというよりはかわすタイプなので、アシストもできて、シュートも上手いですし、それ以外にも守備で戦う姿勢もそうですし、リバプールファンなんですけど(笑)、参考になるのはシティのベルナルド・シウバですね」。ちなみに同世代で気になるのは、大宮アルディージャU18の柴山昌也。「普通に足元が上手いですし、身長も同じくらいなので、そこはちょっと意識しますね」。2人の直接対決も早く見たい所ではある。  今シーズンは10番を背負うことが決まっている。「練習試合で何回か付けただけなので、まだちょっと恥ずかしいですね」と笑いながら、「自分は10番タイプじゃないと思うんですけど、付けさせてもらうからにはそれなりの結果を出したい想いは、自分の中であります」と続けたフレーズに、飄々とした男の決意が浮かび上がる。  2020年は9年間に及ぶアカデミー生活の集大成。「タイトルを1つでも獲るということと、プレミアのチャンピオンシップに凄く出たいなというのはありますね。小6、中3と全国2位で日本一を逃しているので、最後に埼スタで全国を獲りたいです」。3度目の正直を引き寄せるべく、『すべてをサッカーのために』捧げる意志は固い。  サッカー小僧を地で行く柏レイソルU-18の新10番。田村蒼生が目指す頂は、まだまだ険しく高いがゆえに、登りがいがあることへ疑いの余地はない。 ■執筆者紹介: 土屋雅史 「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

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