「我慢の限界」に達したマスク氏、右に急カーブ切り政治の賭けに参戦
気候対策で大胆な目標を掲げEV奨励策を講じたカリフォルニア州を敵に回したマスク氏は、自分の富に貢献した地域に背を向ける。
マスク氏、XとスペースX本社をテキサスに移転-カリフォルニアから
同氏が2022年に440億ドルで買収したツイッター(現在のX)は、長らくサンフランシスコに本社を置いている。巨大な本社ビルはかつて、ツイッターのロゴである鳥のマークで知られていた。進歩的な都市として知られるサンフランシスコでは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を経て人口が流出、オフィスビルの空室率は過去最大に跳ね上がった。マスク氏は同市の中心街を「ゾンビがうろつく黙示録」と切り捨てている。
ニュージャージー州プリンストンで用地選定会社を経営するジョン・ボイド氏は「Xのブランドを再構築するには、本社をサンフランシスコから移し、マスク氏が非常に居心地良いと感じているテキサス州に置く以上に根本的な方法はない」という。「ベイエリアよりもオースティンの方がビジネス環境として有利だ」と述べた。
マスク氏の逆鱗(げきりん)に触れたカリフォルニア州の法律は、ニューサム知事の署名によって今週成立した。マスク氏はXへの投稿で「親の権利を大きく破壊する」と糾弾し、子どもたちに「生涯残るダメージ」を与えるリスクがあると非難した。
問題はマスク氏にとって個人的なものだ。同氏の子どもの一人は2022年、18歳になったのを機に氏名変更の手続きを取った。裁判所に提出された文書では「自分の性自認と、実父とはもはや同居しておらず、今後はいかなる形であれ一切関わりを持ちたくないという事実」を理由にしている。
メディアや文化における性的少数者(LGBTQ)の肯定的な描写を提唱するGLAADの広報担当者は「ヘイトに満ちた発言で昔から知られる人物が、ニュースサイクルの瞬時を狙って、センセーショナルな作り話で注意を集めようとする。驚きに値しない」と述べた。カリフォルニア州の法律は「LGBTQの生徒の安全とプライバシーを保証するため、教育界の全指導者にモデルとなる」と擁護した。