田口容疑者に4630万円“誤送金”した阿武町「役場職員」にどんな処分が下されるのか
5月18日、山口県阿武町による給付金4630万円の誤送金問題は、振り込まれた公金を使い果たした田口翔容疑者(24)の逮捕・送検で一件落着、というわけにはいかない。失われた4630万円は誰が肩代わりするのか。誤送信に関わった役場職員たちにはどんな処分が下されるのか。 【写真】「オンラインカジノで使い果たした」と供述している田口翔容疑者 ***
誤送金された4630万円は、住民税非課税世帯の1世帯当たりに10万円を支給する、新型コロナ対策の臨時特別給付金だった。つまり、463世帯分の給付金だったのだが、こちらは田口容疑者も含め、申請した全世帯に振り込まれている。その後、担当職員が、手続きには別途、振込依頼書が必要だと思い込み、銀行に提出したことが事件の発端だ。その振込依頼書には田口容疑者の氏名しか記載されていなかったため、今度は田口容疑者のみに4630万円が振り込まれたのだ。彼の口座残高は665円しかなかったが、一気に4640万665円となった。 地元住民は呆れて言う。 「そのお金をネットカジノで使い込んだっていうじゃない。『少しずつ返したい』って言ってるそうだけど、無職じゃ無理だよね」 田口容疑者は電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕された。有罪となれば10年以下の懲役だから、その間、稼ぐことだってままならない。さらに問題があるというのは、地元紙記者だ。 「今年度、阿武町は『住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金給付事業』に8155万8000円の予算を付けています。これは“非課税世帯”に加え、現在、申請を受付中の“家計急変世帯”にも、1世帯10万円を支給するためです。ところが、非課税世帯への給付だけで、すでに予算額を超える9260万円を使ったことになります」 今後、不足分はどうするつもりだろうか。阿武町議会の米津高明議員に聞いた。
4630万円では済まない
「国がもう一度お金を出してくれるとは思えませんので、補正予算を組むしかないでしょう。実は、今回の事件の経緯や真相を議会でも究明すべきと思い、少しでも早く臨時議会を開くために賛同する議員を集めました。ところが横やりが入って、当初賛同してくれた議員も、『すまん』と翻ってしまいました。とりあえず今は、弁護士費用の440万円と容疑者の資産を差し押さえるための供託金860万円の予算を取ったところです」 弁護士費用などを合わせれば、被害は4630万円では済まない。それは誰が肩代わりするのだろう。 「町長は『容疑者に返還を求めていく』と言っていますが、本人は『全て使ってしまった』と言っています。それも本当かどうか分かりませんが、最終的には町が何とかするしかないでしょう。決して小さな金額ではありませんが……」(米津町議) 自分の金でもないのに使い込んだ田口容疑者に責任があるのはもちろんだが、そもそものきっかけを作ったのは町職員という声も出ているようだ。前出の地元紙記者は言う。