双子パンダの食事に昆虫やトマトが。食べる姿が見られたらラッキー!? 新メニューの反応を上野動物園に直撃
メスのジャイアントパンダ、シンシン(真真)が19歳の誕生日を迎えた2024年7月3日(水)、上野動物園へ足を運ぶと、娘のレイレイ(蕾蕾)がいる部屋で小さな赤い物体が目に入りました。肉眼では何なのか分かりません。周りの観客も不思議そうに眺めています。帰宅後、写真を拡大したら、カットしたトマトのように見えました。 【画像】竹を選ぶシャオシャオを見る パンダの主食は竹で、上野動物園ではモウソウチク、シノダケ、マダケなどを与えています。同園での副食はリンゴ、ニンジン、パンダ団子(材料は大豆、米、トウモロコシなど)が定番。トマトは異例です。 上野動物園に確認したところ、筆者が見たのはやはりトマトでした。「トレーニングや採食エンリッチメント(食べ物によって飼育動物の生活を豊かにする取り組み)に使う目的で、5月以降、嗜好性の高いエサの調査をしています。基本的には、上野動物園内で使用している、加工されていないものを選んで試しています」(上野動物園の担当者・以下同)。 これまで試したものは、サツマイモ、落花生、バナナ、ミルワーム(甲虫の幼虫)、カリフラワー、トマト、キュウリ、オレンジなど。「いずれも少量で試しており、2度試したものは、まだありません」 レイレイだけでなく、園内のほかのパンダたちにもこれらを試しました。反応は「いずれもにおいを嗅ぐことはありましたが、食べたものはありません」とのこと。筆者の観覧時も、レイレイはトマトに目もくれず、竹を食べるのに夢中でした。
パンダは肉も食べる
今回試したエサは、前述のように野菜や果物が中心です。異色なのはミルワーム。動物のエサとしてよく与えられる昆虫です。パンダは草食だと思われがちで、実際、食べ物はほとんど竹ですが、実は「食肉目クマ科」(「食肉目ジャイアントパンダ科」とする施設もある)に分類されます。 『つなぐ――上野動物園ジャイアントパンダ飼育の50年(抄本)』(公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園)によると、ホァンホァン(歓歓)、フェイフェイ(飛飛)、トントン(童童)、リンリン(陵陵)を飼育していた頃の上野動物園では、パンダミルク、馬肉スープ、麦飯、骨粉などで作ったミルク粥もパンダに与えていたそうです。 リンゴ、ニンジン、パンダ団子は、嗜好性の高いエサとして現在も使われています。レイレイと双子でオスのシャオシャオ(暁暁)によるニンジンの採食については以前、「成獣と同様で、大きめに切って与えており、食べています」とのことでした。しかし最近は「レイレイは成獣と同様に食べていますが、シャオシャオはあまり食べないこともあります」