夢は若くして引退、「FIRE」目指す人向けのETFがデビュー
(ブルームバーグ): FIRE(経済的自立による早期退職)は多くの人々にとっては夢物語だが、これを目指すトレンドは現実にあり、新たな上場投資信託(ETF)を2本誕生させた。
「TikTok(ティックトック)」やインスタグラムなどにはFIRE達成のためのアドバイスであふれている。タイダル・インベストメンツは19日、初めてこの目的に特化したETFとして「FIREファンズ・ウェルス・ビルダーETF(証券コードFIRS)」と「FIREファンズ・インカム・ターゲットETF(証券コードFIRI)」をローンチした。
タイダルの共同創業者であるマイケル・ベヌート最高投資責任者(CIO)は「FIREコミュニティーはウォール街に無視されてきた。自分で行動することを好む素晴らしいグループだ」と話す。「FIREコミュニティーにバンガードS&P500以外のETFを当社は提供したい」と述べた。
FIREを目指す動きはデイトレーダーの間で人気が高い。ソーシャルメディアのレディットでは230万人ものユーザーがこのコミュニティーを構成。就労開始から最初の何年かは給与の半分を貯蓄や投資に回し、十分な金融のクッションを作って若いうちに引退することを提言している。
しかし毎月の生活費を給料ぎりぎりでつなぐ多くの米国人にとって、これは途方もない目標になる。多くの米国人は特に年齢が高いほど、退職のための貯蓄が不足しているケースが多い。ある調査では、典型的なケースとして引退には150万ドル(約2億3200万円)の貯蓄が必要と考えられている。平均的な貯蓄額8万8400ドルの17倍に相当する。
一方でテーマ戦略に基づくETFはパフォーマンスに強弱があり、一部の専門家は懐疑的だ。モーニングスターのクライアントソリューション責任者、ベン・ジョンソン氏は「FIREという略語とファンドの投資戦略を結びつけるのは、投資プロセスへのファンダメンタルなインプットというより、マーケティング戦術としての側面が強い」と指摘する。「ウェルス・ビルダー・ファンドはリスクパリティーのブランド名を新しくしただけのように見える」と述べた。