マセラティ レヴァンテに乗って2泊3日、試乗の旅──Go To ワインと風呂、ときどきサウナ その1
なんてこった! ことしは海外旅行に行けないじゃないか! ならば日本をグランドツーリングしよう。マセラティ レヴァンテとともに、GQ JAPANデジタル副編集長の岩田桂視が東京から北陸を巡った。いい湯、旅立ち。ローカル・サウナにも行ったよ。 【写真を見る】レヴァンテに乗って訪れた先
クルマに乗って旅にでよう
10月のある日、マセラティ ジャパン広報の野村奈津子さんから連絡があった。「レヴァンテに乗って、自由に行き先を決め、旅にでかけませんか? 条件はグランドツーリングを楽しんでいただきたいので、それなりの距離を走行してください、ということです。ゴール地点はリッツ・カールトン日光です。それではお気をつけて!」──社の規定により、県外移動は上長許可が必要だったので、ぼくは編集長に申請し、許可を得て、2泊3日の旅に出た。替えのマスク、手指用の消毒液など、いつもとは違う特別な旅支度をしながら、すこしふわふわした気持ちになった。 まずはこんかいの旅のお供について紹介したい。マセラティ レヴァンテは2016年3月にジュネーヴ・モーターショーでお披露目されたSUVである。レヴァンテとは地中海から吹く東風の名に由来し、この風は穏やかでいながら、瞬時に強風に変化するという。つまりこの車名は、スポーツカーのように荒ぶる一面と穏やかで安楽・快適なグランドツアラーのごとき一面という、たがいに対照的な性格を持つSUVであることの隠喩なのである。 こんかい用意してもらったクルマは、レヴァンテ S グランスポーツ ゼニア ペレテスタといい、その名からわかる通り、エルメネジルド・ゼニアとコラボした限定車で、ゼニアが開発した生地をインテリアに使ったおしゃれな仕様になっている。外観はシックなブラウンで、内装はブラックを基調にし、抑制の利いた雰囲気である。エンジンはツインターボのV6で快音&快速。BGMを切り、窓を開けて走りたくなる。このクルマと3日間すごすことを想像すると自然と気分が高揚した。 ■DAY1──新潟・カーブドッチ 朝7時に東京・広尾から出発して、首都高にのり、関越自動車道を乗り継ぎ、ぼくは新潟県・角田浜にあるワイナリー、カーブドッチへと向かった。10時過ぎに現地に到着すると、駐車場は平日にも関わらずほぼ満車だった。駐車しているクルマのナンバーを観察すると近隣の県が多い。シェフ・ド・カーヴの掛川史人(かけがわ・ふみと)さんが出迎えてくれた。 「もともとこのワイナリーをはじめた当初、ワインだけでなく庭を楽しんでもらおうと思い、景観にもこだわりました。地元から訪れる方はその頃から多いですね」 カーブドッチでは、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった国際品種を21品種栽培している。とりわけ白眉はアルバリーニョを使ったワインだという。 「これまで育ててきたなかで、スペイン産の白ワイン品種、アルバリーニョが一番人気です。キレイで上品な酸に加え、甘やかさがここのヴィンヤードを表しています」といって、1本のワインを見せてくれた。 「フラッグシップワインのカーブドッチ サブル 2019です。ブレンドした品種はアルバリーニョ、リースリング、そしてセミヨン・ヴィオニエで、砂壌土壌ならではのミネラリティを感じさせる味わいです。このセパージュ・シリーズは、クラシックなテイストを目指し、テロワールを素直に表現しています」 まだまだクルマを運転しないといけないので、これだけ魅力のあるワインを教えてもらってもテイスティングすることは叶わない。掛川さんにおすすめを聞いた。 「ナチュラルな味わいが好きなら“どうぶつ”をおすすめします。このシリーズはぼくの趣味に走ったラインナップです。たとえば“やまどり鳴く”は、スチューベンをベースにデラウェアという食用ブドウを使ってアッサンブラージュしています。あと、角田浜らしさでいえば“うみがめ”の味わいもいいですね。ソーヴィニヨン・ブラン特有の爽やかさが感じられます」 ぼくは言われるがまま、2本を選び、そしてフラッグシップワインの“サブル2019”を購入した。ワインショップにはまだまだたくさん気になるボトルがある。それらについては、次の機会にとっておこう。 カーブドッチのワイナリーで、ステンレス樽を発見! 木樽と違い、熟成段階で樽の風味を移さずに味わいをコントロールできる。「最近、日本のワイナリーでも導入しているところが増えました」 INFORMATION カーブドッチ ワイナリー 住:新潟県新潟市西蒲区角田浜1661 TEL:0256-77-2288 https://www.docci.com/ ■DAY1──新潟・さか井湯 角田浜をあとにし、ぼくは新潟市・中央区にある「さかい湯」に向かった。酒と風呂が好きなぼくだが、新潟の銭湯は未踏の地。全国に散らばるフロトモ(風呂友だち)にリサーチした結果、唯一サウナ設備があるここを紹介された。開店前の番台で声をかけると、奥からオーナーの坂井雅(さかい・まさし)さんがでてきた。昭和10年生まれの大先輩だ。きくところによると親から受け継いだ銭湯で、サウナは10数年ほど前にリニューアルしたときに取り付けたという。せっかくなのでお風呂&サウナを使わせてもらった。 湯は天然温泉ではない(当然だ)が、アタリは柔らかめだ。スチームサウナは約60度。ぼくがお邪魔したのは開店間際なので、温度がまだあがりきっていない。収容人数は最大3人ぐらいまで。水風呂もあり、サイズは90cm×90cm四方。深さは腰高、しゃがめば首下ぐらい。1人用だ。水温は約20度近くあり、ゆるやかな心地よさである。これでいいのだ、という気分にさせてくれる銭湯であった。つかの間の至福を感じつつ、ぼくは次の場所へ向かった。 INFORMATION さか井湯 住:新潟県新潟市中央区沼垂東2-11-4 TEL:025-244-4993 営:13:00~22:00 休:金
文・岩田桂視(GQ) 写真・佐山順丸