市川紗椰が語る"牛愛"「小中学生の私が丑年の存在を知っていたら、目が血走るほど興奮したでしょう」
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、今年の干支(えと)、丑(うし)について語る。 * * * すっかり新年っぽさが薄れ始めた今日この頃。お正月は海外や地方で鉄道旅をするのが恒例だった私にとって、家でヌルッと過ごした今年はそもそも新年感がありませんでした。 お正月らしいことをしたり見たり食べたりしなかったので、普段と変わらない日々で、今となれば後悔。書き初めとか、録画し忘れた『SASUKE』の見逃し配信や、お節作りとか、年末年始イベントに触れればよかった。新年はこっちから迎えにいかないと来ないのです。 新年を取り戻す策として、新年の象徴を取り上げます。それは今年の干支、丑。小中学生の私が丑年の存在を知っていたら、目が血走るほど興奮したでしょう。そう、アメリカ在住の当時の市川は、牛マニアでした。 7歳の頃から、気づけば好きな動物=牛。大好きなあまり、牛グッズを大量にコレクションし、牛柄のパジャマをまとい、牛柄のシーツと牛の形の枕に包まれて牛の夢を見ていました。いとおしい牛の命を大事にしたいと、肉も食べませんでした。 この信念は、日本のハンバーグとの出会いによってあっさり破られるほど薄っぺらかったのですが、重症だったなと思い返すのは、「cow(牛)」に響きがなんとなく似てることから、好きな人名が「Cal」だったこと。 物語を書く課題や、理想の男性の名前はすべてCalで、牛寄りの人間を求める危ない子供でした。ほかにも、水を飲ますと搾乳できる少々不気味なおもちゃを学校に持っていったり、なかなかキテました。 牛の魅力は、おっとりとした愛らしさ。目が優しくて、近くで顔を見るとまあかわいい。記憶力が優れており、触れ合うとその次に覚えていてくれる律儀さはもちろん、身の回りの物の位置を忘れない賢さもすてき。 なでられたりハグされると喜ぶし、顔を近づけるとペロッてしてくれるし、言ってしまえば、牛は巨大な犬。栄養豊富なミルクと肉を与えてくれる大きい犬。最強じゃないですか。