ふんわり鉄板トーストで女性ファンをつかむ 生食パンを独自に開発し起業
大阪・本町のビジネス街で、鉄板焼きのトーストサンドの店として話題なのが「Dali Toast&Sand Delicatessen」。独自に開発した生食パンと具材をマッチさせた「船場トースト」を提案し、ランチタイムには近隣で働く人が列をなすにぎわいを呼んでいる。28歳の若い女性オーナーによる、メニュー開発の工夫と今後の展望を取材した。 【すべての関連画像を見る】メニュートレンド:人気のふんわり鉄板トースト 自家製パンと卵がポイント
韓国グルメがヒントに
昨年2月にオープンし、女性を中心にファンが増加中の同店。代表の松村萌衣さんは飲食店での経験がなく、まさにゼロから開業を目指したとか。まず、「小さい面積で運営できる」「粉もの」「ロスが出やすい生ものは使わない」という3条件に合致する食べ物を探すことから始めたという。 その過程の韓国旅行で出合ったのが、現地で人気の鉄板トースト。そのおいしさに衝撃を受け、「日本でブームの生食パンで作ってみたい」と決意。他店との差別化を考え、外注ではなく自家製パンでと、独学で製造に着手した。 目指したのは、一般的な食パンとは違う、ミミが薄皮一枚で軟らかく、モチモチした食感もある商品だ。温度やこね方を工夫するなどの試行錯誤を重ね、開発に成功。サンドを食べてパンのおいしさに感心する客も多く、生食パンのみの販売や通販も好調である。 パンはバターを引いた鉄板で焼くが、低温でじっくりと火を通すことがポイント。「蒸気で温められることで、水分を逃さずにふわっとした食感が出る。生食パンのよさがちゃんと残ります」と、松村さんは鉄板調理でのメリットを語る。 具材で重要な役割を担うのが、ほとんどのメニューに挟むふわとろの卵。1食に1.5個使用し、牛乳や塩で調味して焼き上げており、ボリュームたっぷり。また、パンの内側にはケチャップベース、上にはマヨネーズベースのいずれも甘いソースを使用するのも特徴。韓国で食べた味をヒントに、具材の塩味と甘味の“やみつき”になるマッチングを狙って考案したとか。 「女性がときめくものは売れるという実感がある。今後も自分の感覚を生かした商品を作り続けたい」と松村さん。昨年5月には、天満にテイクアウト専門の2号店を開店。近隣での新店舗や、セントラルキッチンにカフェを併設した規模が大きい店舗の開店も予定しており、今後の快進撃にも注目である。 ●店舗情報「Dali Toast&Sand Delicatessen」経営=ダリ/店舗所在地=大阪市中央区船場中央4-1-10 船場センタービル10号館地下1階/開業=2020年2月/坪数・席数=約8坪・16席/営業時間=午前10時~午後5時(生食パン販売は午後6時まで)。日曜・祝日休/平均客単価=800円/1日平均集客数=100人
日本食糧新聞社