福島「県民健康調査」検討委の星座長が会見(全文2/完・質疑応答)
甲状腺がん発生の原因は過剰診療またはスクリーニング効果によるものなのか?
フランステレビジョン:(英語) 通訳:~と思われますでしょうか。 星:質問とすれば、それは放射線の影響があって増えていくのかという質問ならば、現時点では私はそういうふうには見ていません。ただ、それを頭から否定する気もありません。これまで見つかったがんに加えて、検査をすれば、相当数の数のがんが見つかることは当然、想定されると思います。それが放射線の影響によって増えているということが明らかになるようなデータが出てくれば当然、そういう評価をすることになると思います。増えるという予断や、増えないんではないかという予断を持って当たってはいけないと思っています。 毎日新聞:毎日新聞のアオノと申します。いまの質問に関連なんですけれども、過剰診療のせいで多く甲状腺がんが見つかっているのではないかという見方もあると思うんですけれども、それがそうなのかどうか、過剰診療によるのか、スクリーニング効果などによるものかどうかということが決着がつけられるとすれば、どうすればつけられるのかというのが1点です。 それにさらに関連してなんですけれども、やはり初期被曝の放射性ヨウ素がしっかり測られていないという、もうそのことはもう今からなかなか取り返しのつかないことだと思うんですけれども、その上でやはり今と同じ質問なんですけれども、いったいじゃあ、その多く発生している甲状腺がんの原因が何によるのかというのを、因果関係を付けるのが難しいと思うんですけども、その辺はどういうふうに今後、その因果関係を否定するなら否定する、肯定するなら肯定する、どのようにしたらそれができるというふうにお考えでしょうか。 星:まず科学的にこれが放射線の影響かどうかっていうことを最終的に決定づけるのはたぶん、専門家の意見も聞けば、甲状腺に受けた放射性ヨードの被曝線量と、がんの発生の頻度に一定の因果関係、一定のルール、因果関係ですね、が、あるということを証明する必要があるんだろうと思います。 ただこれは2番目の質問をされる前におっしゃったこともそのとおりでありまして、非常にその当時の甲状腺の被曝線量を把握するために行われた調査は非常に少ない。そのために得られているデータ非常に少ないというのも一方事実です。同じぐらいのサイズでまったく放射線の影響がなかったと思われる地域で同じような検査をすべきだという意見を持っている人がいることも知っています。しかし、それは私は現実的ではないと思いますし、不要な、まあ不要なという言葉がいいかどうか分かりませんが、甲状腺がんを見つけてしまうことにもしなれば、被曝も受けた可能性がない人たちにがんというものを突き付けることになりかねないことであり、慎重に取り組むべきことだと思っています。 その上で話を戻しますが、実際に受けた被曝線量を推計するのは非常に難しいとしても、やはりそのことはこれからもしっかりと調査をしていって、本当に因果関係があるかどうかについてはきちんと評価をされるように努力をすべきだと思っています。 通訳:私が独占しているように言わないでください。 通訳:評価できるでしょうか。 司会:Thank you. 星:何も起きなかったとは言いません。私は多くの人たちが恐怖にさらされたという事実は変わらないと思います。それは放射線の医学的、科学的影響という範疇を超えて、われわれの心に大きく突き刺さってると思います。ある年齢の子どもたち、女の子が、もう私結婚できないわという話をよく聞きました。私たちはそれを忘れてはいけないと思っています。ただ、誤解を受けてそういう思いを持ち続けることは、もうあってはならないとも思っています。ぜひ多くの方々に福島に訪れていただいて、いまの福島を見ていただきたい、そう思っています。ありがとうございます。 (完)