7度の移籍で「歴代9位」。なぜ“エーコ”小池純輝はJ2で必要とされ続けるのか?
いまだ8人しか達成していないJ2・400試合出場という大記録に、あと3試合と迫った選手がいる。東京ヴェルディの小池純輝だ。2009年に浦和レッズからザスパ草津(現・ザスパクサツ群馬)に期限付き移籍して以来、12シーズンで7チームを渡り歩いたJ2の“生き字引”であり“渡り鳥”は、いかにしてJ2の舞台で必要とされ、戦い続ける処世術を身につけたのか。高校2年時に学んだ教訓について、そしてプロキャリアで自然と身につけた“3つのサイクル”について、プロとして長く生き抜くその秘訣を語る。 (文=佐藤亮太、写真=Getty Images)
7チームを渡り歩いた“J2渡り鳥”が達成間近の大記録
20年余りのJ2の歴史で8人しか達成していない記録がある。J2・400試合出場だ。ランキング順に見てみよう。 1位:575試合 本間幸司(水戸ホーリーホック) 2位:442試合 中島裕希(町田ゼルビア) 2位:441試合 松下裕樹(元ザスパクサツ群馬ほか) 4位:435試合 倉貫一毅(元ガイナーレ鳥取ほか) 5位:426試合 坂本紘司(元湘南ベルマーレ) 6位:414試合 高地系治(栃木シティフットボールクラブ) 7位:408試合 上里一将(FC琉球) 8位:407試合 高田保則(元ザスパ草津ほか) そして現在397試合とこの記録が目前に迫っているのが東京ヴェルディのFW小池純輝だ。 埼玉県比企郡嵐山町出身の33歳。浦和レッズユースから2006年トップチームに昇格。当時の浦和には長谷部誠、鈴木啓太、田中マルクス闘莉王ら日本代表クラスがひしめくなか、小池は出場機会を求め、2009年、ザスパ草津(現在のザスパクサツ群馬)へ期限付き移籍。 ここからJ2渡り鳥が始まる。翌2010年に水戸ホーリーホック、2012年に東京V、2014年に横浜FC、2016年にジェフユナイテッド千葉、2017年に愛媛FCに期限付き移籍、そして2019年から再び東京Vと7チームを渡り歩いた。 小池は昨季40試合に出場し、キャリアハイの16得点をマーク。2度のハットトリックを達成した。将来性のある若手が在籍するなか、今季も主力としてここまで28試合に出場し7得点を挙げている。 小池の特長は裏のスペースに抜ける動きとシュートコントロールの精度の高さ。そしてFW、両MF、両サイドバックと多くのポジションをこなせる万能性だ。これまでのキャリアでわかるように、小池は長く1つのクラブに在籍する、いわゆるバンディエラではない。個人タイトルを獲得したことも日本代表に選ばれたこともない。