在宅ワークでカフェイン過剰摂取を防ぐ「デカフェコーヒー」の選び方
近年、国内で急速にシェアを伸ばしているデカフェコーヒー。コーヒー豆に含まれるカフェインを90%以上除去したデカフェは、これまで「妊娠中の女性が飲むもの」というイメージが強かった。しかし最近では、カフェインの過剰摂取を抑えようとデカフェを選択する男性が増えているという。カフェインレスコーヒーの専門ショップ『デカフェシア』に話を聞いた。(清談社 中村未来) ● 安全面に配慮した 日本のデカフェ スターバックスなどのコーヒーチェーン店、セブン-イレブンなどのコンビニ、さらには自動販売機でも、“デカフェ”“ノンカフェイン”の文字をよく見かけるようになった。デカフェ専門店も今、続々とオープンしている。 市場の変化によって、日本ではここ数年の間で一気にデカフェが認知されたように感じるが、海外ではすでにスタンダードな選択肢としてデカフェが定着しているという。デカフェシア店長の山代尚子氏は言う。 「昨今の日本のデカフェブームは、海外からの流れです。たとえばアメリカでは、コーヒーショップに行くと、カフェインが入った普通のコーヒーとデカフェは半々くらいに置かれています。コーヒーの種類の一つという認識です」 要するに、コーヒーを飲む際、カフェインを摂取するかしないかを、消費者が選べるようになっている。そうした選択肢がようやく日本にも入ってきたというわけだ。
ただし、デカフェの製造方法は、日本と海外とでは異なる。海外のデカフェの多くは、有機溶媒抽出という方法によって製造されている。コーヒー豆を有機溶媒につけてカフェインを取り除くという方法だ。しかし、有機溶媒は劇薬であるため安全面に問題があるとし、日本ではこの製造方法は禁止されている。 「日本のメーカーの多くは、水抽出という方法を採用しています。コーヒー豆を水につけて成分を取り除いたあと、有機溶媒でカフェインを除去。再び水につけてカフェイン以外の成分を戻すというものです。日本製のデカフェは、手間とコストがかかる分、安全性が高いと言われています。また、コーヒーは水にこだわるほど味わいが増すので、おいしさにこだわる場合も水抽出のほうがおすすめでです」 ● 男性にもデカフェが 人気の理由 これまでデカフェというと、女性、とりわけ妊婦が飲むものというイメージが強かった。しかし、山代氏によると、デカフェを買いに来る客の内訳は、女性が6割、男性が4割と、意外なことに男性客も多いという。 「当店では、30代前後の若い男性が、デカフェをお求めになられます。女性がデカフェだけを購入するのに対して、男性はカフェイン入りとデカフェを両方購入される方が多い印象です。日中はカフェイン入りを飲んで、夕方以降はデカフェを飲むという風に、使い分けをしているのかもしれません」 カフェインと健康の関係性は広く知られるところで、カフェインを摂取することで、自律神経の働きを高め、集中力がアップする。仕事中、パフォーマンスを上げるためにコーヒーが手放せないという人も多い。 一方、夜に摂取すると寝付きが悪くなり、さらに、過剰摂取によって頭痛、下痢などの健康被害があることも知られている。また、最近ではカフェインの過剰摂取が精子の運動率を下げると言われ、男性側の不妊の原因という情報も流布している。 とはいえ、男性不妊に関しては明確なエビデンスがあるわけではない。 「カフェインと不妊については、本当にいろいろな情報があふれていますが、コーヒー一杯でそこまで心配する必要はないと思います。あくまで、過剰にカフェインを摂取するのが良くないという話です。ただ、どうしても気になるという方にとって、デカフェは安心できる飲み物と言えます」