「鬼滅の刃」は世界で通用するのか
第78回ゴールデングローブ賞が発表された。その中でもアジア勢として、外国語映画賞に『ミナリ』が入賞を果たしたことがニュースになっている。 【画像】「鬼滅の刃」の続編に思わぬ逆風 ただこの映画、セリフの半分が韓国語だったことから外国語映画枠に入れられたのだが、もともと米国の映画ということもあってその扱いに批判が出たという。最近は性別や人種の問題はエンタメの世界でも非常に敏感な要素となっており、慎重に扱われている。いずれにしても、また韓国系の映画が躍進したことは間違いない。 最近、韓国のコンテンツは欧米市場でも存在感を見せている。韓国のボーイズバンドであるBTSの人気は今さら言うまでもないが、それ以外でも、アカデミー賞を受賞した映画『パラサイト』が話題になったのは記憶に新しい。 韓国勢に押され気味の日本のコンテンツだが、今年になって、日本発として負けじとじわじわと知名度を上げているコンテンツがある。「鬼滅の刃」(英語名は「デーモン・スレイヤー」)だ。 鬼滅の刃は国内で空前の人気を誇っているが、その人気は今、国境を越えている。2月23日、デーモン・スレイヤーが日本のみならず世界でも日本アニメの歴代記録を更新したと、有名アニメ専門サイトが報じた。日本人には分かりにくいかもしれないが、なぜ外国人にこのアニメが受けているのだろうか。そもそも日本のアニメのどこに興味をもっているのだろうか。
アカデミー賞を受賞するのか
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、第93回アカデミー賞長編アニメ映画部門にエントリーされた。27作品がエントリーされた中の1作品である。ただノミネートされるために、米国内の指定された地域の劇場で1週間の商業上映が必須条件となっていることから、フロリダ州で1週間だけ上演が行われている。 またアカデミー賞を獲得するのには、5作品の最終ノミネート(候補)作品に残らなければならない。現時点で最注目の日本アニメ映画だけにアカデミー賞の行方も気になるところだ。 実はこのアニメは、日本や海外ですでに賞を手にしている。2019年には日本の月刊誌『ニュータイプ』が主催するニュータイプ・アニメ・アワードで、作品賞を受賞したとエイジメディアが報じている。また20年には世界のアニメファンの投票で決まる米クランチロール・アニメアワード2020の最優秀作品賞にもなっている。 そして今回のアカデミー賞のエントリー。かつてアカデミー賞の長編アニメ映画賞を受賞している『千と千尋の神隠し』を超える記録を出している映画だけに、アカデミー賞の受賞を期待する声が出るのも分からなくない。ちなみに最終ノミネートの5作品が発表されるのは3月15日。4月25日にはアカデミー賞の受賞作が発表されるが、徐々に注目度が高まってきているのは間違いない。 米国の有名エンタメ雑誌バラエティは、どの作品が最終ノミネートに残るのか予想を掲載し、『ソウルフルワールド』『ウルフウォーカー』『オンワード』『フェイフェイと月の冒険』『ザ・クルーズ: ア・ニュー・エイジ』を挙げている。デーモン・スレイヤーは6番手であるとしている。 こうした話題以外でも、デーモン・スレイヤーは海外で注目されている。例えば19年にNetflixで配信が始まってから、もっともリクエスト数の多いアニメの一つになったと海外でも報じられた。 同映画は、すでに韓国や台湾で上映が始まっている。韓国ではかなり好調のようで、公開すぐに興行収入で1位を獲得している。オーストラリアやニュージーランドでの上映も始まった。これらの国では新型コロナの感染者数が比較的少ないので、映画館で多くの人が作品を見ると見込まれている。