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17万円→581万円! 「身近すぎて価値が……」自衛隊初オークション、河野防衛相肝いりのわけ

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「F35、1機分ぐらい(米国製最新鋭戦闘機、約100億円)の収入を」という河野太郎防衛相の肝いりで始まった、自衛隊でいらなくなった品々のオークション。7月26日に防衛省であった「初売り」をのぞいてきました。河野氏もハンマーを叩いてさばいた売り上げと、その背景やいかに――。(朝日新聞編集委員・藤田直央) 【画像】3万円→66万円、最高額となった品は? 登場した全21点、落札額とともに紹介します

身近すぎて価値が…33倍!

日曜の午後、東京・市ケ谷の防衛省講堂。定員450人を超える応募から抽選で選ばれた人たちが競りに集まりました。中高年を中心に、男性8割、女性2割といったところでしょうか。 出品は陸海空の各自衛隊から、戦車や艦船、航空機の備品など計21点。ただし武器や車両など危険なものを除きます。防衛省や自衛隊の人たちにすれば「古くなって捨てる不用品で、身近すぎて価値がわからない」という品々です。 いったいどれほどの値がつくのか。河野氏が挨拶で「スーツケースを引っ張ってきた方もいて、中には現ナマがいっぱいでは」と笑いを誘い、競りが始まりました。 司会の防衛装備庁の職員がマイクを使い、開始価格から値段を徐々に上げていきます。買いたい人たちは自分の番号が記されたボードを掲げますが、値段が高くなって諦めると降ろしていき、最後に残った一人が落札するというわけです。 陸上自衛隊から始まります。最初の出品は、自衛官が弾倉を入れる「弾入れ」と、その弾入れや水筒を固定するベルトである「弾帯」のセット。私なら開始価格の5千円でもどうかなあと思っていたらどんどん競り上がり、落札価格は13万円を超えました。 これは気を抜けないぞ…と会場後ろの取材スペースから注視。出品5点は陸自らしく自衛官が身につけるものが中心で、開始価格総額は2万6千円でしたが、落札価格は72万8千円になりました。 海上自衛隊からは、今年3月に退役した練習艦「やまゆき」にちなむ備品の数々を元女性艦長が説明。護衛艦当時に東日本大震災や熊本地震で災害派遣されたエピソードや、出品された食器盤6枚セットに海自名物のカレーが盛られた写真を紹介するなど力が入ります。 この食器盤(開始価格5千円)を17万円で落とした男性はガッツポーズ。出品8点で開始価格総額は7万1千円でしたが、落札価格は268万円になりました。 ここまでに実は激しい駆け引きがありました。後で取材に応じた50代の男性は「やまゆき」の側幕(格納庫用)と舷門表札の2点を計74万円を費やして落札。何と「やまゆき」に乗っていた元海上自衛官でした。「正直(8点)全部欲しかったんですけど、資金が…」と思わぬ高値に苦笑い。「家に飾ります。やまゆきの(元)乗組員で年に一度会うので自慢したい。初代艦長も喜んでくれると思います」 一方、東京都内の女性会社員は「やまゆき」の側幕(桟橋用)を16万円で入手。本当は陸自ファンで、毎年恒例の富士山麓での総合火力演習も見たことがある。「陸自の部隊章セットを狙ってたんですけど、思いの外高くて予算を超えました(他の人が20万円で落札)」。「やまゆき」の側幕は「落札価格の一歩手前で止めようかと思っていたら私しか残っていなかったので、腹をくくりました」 最後は航空自衛隊。2018年まで44年間使われた輸送機C1の備品が中心です。機内のスピーカーや非常用電灯が開始価格5千円でともに17万円の値がつきました。私は取材で乗ったことがありますが、あれそんなお宝だったのか…。 トリの出品はヘルメットなど「パイロット関連用品セット」。この競りでは河野氏が司会になり、開始価格3万円をこの日最高値の66万円まで持っていきました。出品8点で開始価格総額は8万円、落札価格は241万円でした。 陸海空の各自衛隊から計21点の落札価格総額は、締めて581万8千円。開始価格の計17万7千円に対し約33倍の値をつけました。休憩をはさみ約2時間の競りは拍手で終わりました。

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