井上尚弥の防衛戦延期 減量末期の中止決定ではなかったことが救い
◇ダブル世界戦 世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ 統一王者 井上尚弥 12回戦 IBF&WBO1位 サム・グッドマン(2025年1月24日 有明アリーナ) 【記者の目】ボクサーに試合直前のアクシデントはつきもの。今回負傷したグッドマンを責めることはできない。まぶたの傷は3週間程度で治るとされるが、カットは癖になりやすく、新たに弱点を露呈したとも言える。 ゴング10日前の延期決定は井上にとっても少なからず影響はあっただろう。16日には本格的なスパーを打ち上げる予定で、臨戦態勢に入る前に水を差された格好となった。 唯一の救いは、試合数日前の中止ではなかったこと。通常、ボクサーは試合日の2カ月前から計画的な減量を開始し、計量直前に水を抜いて一気に体重を落とす。試合1~2日前の減量末期は精神的に追い込まれることも多く、今回のようなケースが起きていた場合、心身ともに大きなダメージを負いかねなかった。 再設定された試合は1カ月後。井上にとって心身をもう一度、つくり直すには十分な時間がある。好試合を期待したい。(ボクシング担当・伊東 慶久)