北海道人でも“なまら難しい”「忍路」「麻生」「濃昼」……難読地名の旅
「小樽代表」……忍路・張碓
北海道の船の玄関口の一つ・小樽。アイヌ語で「砂浜の中の川」を意味する「オタ・オル・ナイ」が由来の街ですが、もともとは現在の小樽中心部を指す言葉ではなかったようです。その小樽からは2つ。まずは「忍路」。伊賀や甲賀に通じそうな地名ですが、完全に意表を突いた読み方です。なんと「おしょろ」! アイヌ語で「尻のような窪み」を意味する「オショロ・コッ」が由来ですが、かつてはニシン漁で大変栄えていました。そして「張碓」。これは素直に(?)「はりうす」と読みます。これはアイヌ語で「ハル・ウシ」……、つまり「食料の多いところ」という意味ですが、残念ながら道を通るだけでは、食料が多いかどうかはわかりません。
「石狩代表」……生振・花畔・濃昼
毎年8月にライジングサンロックフェスティバルが開催されるロックの聖地・石狩。実は、難読地名の宝庫です。まずこの「いしかり」という地名が諸説あり、アイヌ語で「曲がりくねった川」「美しく作る」「鳥の尾で矢羽を作るところ」「閉塞」という意味のどれかだそうです。すべて「イシカラ」「イシカリ」と発音するので、正確にはわからないのだとか。 その石狩から、まず「生振」。「なまふり」「せいしん」などと読めそうですが、これは「おやふる」と読みます。アイヌ語で「川尻の丘」という意味ですが、この土地の歴史は古く、遺跡からの推測によるとおよそ4000年前にはすでに人類が住んでいたようです。続いて「花畔」。由来は「川下の人」を意味する「パナ・ウン・クル」。それが転じて、「ばんなぐろ」! bannaguroですよ。ウルトラ変化球です。 そして、最後に残しておいた「濃昼」。何とも官能的な昼ドラを想像してしまいますが、衝撃的な読み方「ごきびる」! 「ゴキンビリ(ボキンビリという説も)」という「岩と岩の間」という意味のアイヌ語が語源です。「ごきびる」にしても「ゴキンビリ」にしても、ガサガサ動くあの生物を思い出す人が多数。しかしながら自然豊かな、マイナスイオンたっぷりの場所です。 今回の「北海道難読地名紀行」はこれにて終了。次回は……あるかどうかわかりません(笑)。 (ライター・橋場了吾)