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映像360度、VRライブ体感してみた すぐバンドの中へ

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NIKKEI STYLE

劇場にいるような臨場感あふれるVR(仮想現実)映像配信サービス「REALIVE360」(NTT西日本グループ)が登場した。無観客のライブ配信も開始。魅力などを探った。 ももいろクローバーZ(ももクロ)の登場曲「overture」がかかると、野球場を埋め尽くした観客から歓声が上がる――。 NTT西日本は第1弾のコンテンツとして、昨年12月末に「overture」を「REALIVE360」で無料配信。さらに、ももクロの4曲のライブをセットで30日間視聴できるシリアルコードを2000円で販売した。 楽しみ方は簡単だ。スマートフォンでも見られるが、市販のVRゴーグルにセットしても楽しめる。専用アプリはいらない。ももクロの有料ライブなどのサイトにアクセスして申し込みや決済など説明通りに済ませればいい。 始まれば5カ所のアングルから撮影されたライブを好みに応じて切り替えて見られる。「ライブ映像は編集したものより、自分の好きなアングルから見られるコンテンツが好まれるようになる」とNTT西日本ビジネスデザイン部スマートデザイン部門担当課長の笹原貴彦さんは見る。 「REALIVE360」を試した。VRゴーグルをつけると会場にいる感覚になる。VRゴーグルには複眼用、単眼用があり、複眼用は立体に見える。笹原さんによると「長時間楽しむ演劇などは360度の映像を楽しめる単眼用ゴーグルがお勧め」。複眼用は平面映像を立体に見えるようにしているため、長く装着すると疲れることがある。 スマホをゴーグルにセットした後、映像の視点を変える操作がわからず苦労した。後で聞いたら、イヤホンのボタンで操作するらしい。 ボタンを押すと、映像画面に仮想の操作盤が出てきた。例えば「客席最前列」に視点を変えたいときは、その文字を画面の中心の位置に持っていき1秒ほど固定すると、切り替わった。慣れると、VRゴーグルが楽しめた。 もっとも、360度映像や立体視は、初めは珍しくても飽きるのも早い。テレビのように特定のアイドルをアップにしたり、全体を見せてくれたりした方が、楽しめるのではないか? 3D映画の人気が低下したのと同様の道をたどらないかと疑問が生じた。 ところが新しい切り口のコンテンツを見て、そんな懸念は払しょくされた。 NTT西日本とFM802(大阪市)が組んで、関西のライブハウスで活躍するアーティストのライブを「REALIVE360」のPRも兼ねて8月6日から無料で3カ月配信している。「コロナ禍でライブハウスもアーティストも苦境に陥っている。無観客でも楽しめるVRライブを収録し、支援したい」とFM802東京支社営業部課長の中川和俊さんは意気込む。 第1弾のヒップホップバンド、韻(いん)シストのライブは、360度カメラを「ステージ前面」「ステージ上」「客席最前線」の3カ所に置き、従来とは違う感覚のライブ映像を撮影した。 見ると、バンドの中に入ったり、近くで向き合ったり、楽しい時間を共有できた。韻シストのメンバーも「ライブとミュージックビデオの両方を作っている感じ」と話す。 コロナ禍でライブが開けても客席の間隔を空けたりするため採算に乗せにくいが、VR映像配信で収入減も補える。演劇での展開も予定している。やはり舞台や客席の様々な位置にカメラを置き、360度の映像と音響を収録する。「演劇は本来、観客視点で見てもらうもの。それが映像配信で実現できるのがうれしい」と関係者は話す。 「疑似体験」ではなく、これまでできなかった表現を作り上げる。そんな可能性を感じた。 ◇  ◇  ◇

■5G時代へ開発進む

矢野経済研究所によると、2022年以降に次世代通信規格「5G」が普及、高速・大容量通信を生かして現実世界と仮想世界を融合するXR(VR=仮想現実、AR=拡張現実、MR=複合現実などの総称)の360度動画市場(ハード、ソフトと関連サービス)も発展。2025年には1兆1952億円と19年(見込み)の3倍になると予測する。 ただ、内訳を見ると、エンターテインメント、ライブなどのコンテンツは25年で220億円の見通しと、機器やゲームに比べて規模が小さい。通信事業各社はVR映像配信を「5G」時代の主力コンテンツとして開発に力を入れている。 (相川浩之) [NIKKEIプラス1 2020年8月15日付]

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