中村時広・愛媛県知事に聞く(全文3)「地方分権、聞かなくなったが必要」
── 今は、国から補助金が下りてくるときに、メニューが示されて、よかったら応募してください、みたいなスタイルだと思うんですけれども、そういったやり方からまず変えるようなイメージということですか。 もちろんそうです。国がともかく、さっき言ったように、国の根幹にかかわることに集中していただくと。そうすると、3分の1は言い過ぎかもしれないですけれども、人数は要らないですよね。 ── 国の事業、国のほうを縮小して、ある程度地方に移してもらうということ。 ある程度じゃなくて、思い切って。 ── 昔は、地方が政策立案できないんじゃないか、というイメージを持って、中央集権になっていったんじゃないかと思うんですけれども、今は、地方には地方の政策立案が必要なタームになったということですか。 そうです。まず、地方にはできないんじゃないかということは国の勝手な視点で、僕は、市と県と国、全部経験させてもらいましたけれども、この国におかしなイメージがあるんですよ。 例えば、村よりも町が上、町よりも市が上、市よりも県が上、県よりも国が上。根拠はあるんですかね。全くないですよ。ただ単に役割が違うだけであって、上下関係というのはそこにはないはずなんです。 ただ、国のほうは一般の住民と触れ合うこともない。僕は、国の役所へ行くと、行くごとにガードが厳しくなっているんですね。昔は結構出入り自由だったのが、ガードマンが立つ、何かこんなカードをかざさないと入れないような機械が設置される。あれは、あなたたちの声は聞きませんよというメッセージじゃないですか。そういう現場の声、生の声を聞かない、聞けない、入ってこないようなところの政策というのは、生きた政策にはなりません。やっぱり現場で積み上げられたものというのが生きた政策になる。 しかも、地域によっては人口規模も地理的な条件も産業構造も違うから、画一的なものではうまくいくはずがない。その地域ごとの個性を生かした政策というのが、各分野で僕は必要じゃないかなと。そのためには地方分権が絶対に必要と結論づけています。 ※中村時広・愛媛県知事に聞く(全文4完)に続く