中村時広・愛媛県知事に聞く(全文3)「地方分権、聞かなくなったが必要」
このままでは社会保障は瓦解「国政が真剣に考えなければならない」
── 愛媛県の場合は、何もしなかった場合に比べて、2060年の人口の推計値81.4万人より最低でも25%(20万人)以上の上積みを図ることを目標として掲げていますが、ただそこを目指したとしても、やはり大きく減ってしまうという推計ではあると思うんです。この点についてはどう思われますか。 これは、国政が真剣に考えていただかないと困るんですけれども、愛媛県も136万、7万、8万ぐらいが、100万を切るんじゃないかと。日本全体がそうなんですよね。今1億2000万いるこの人口が9000万を切ると言われているんですよね。だから、これを一体、国としてどうするんだよということを、国会議員がもうちょっと仕事をしていただきたいというふうに思いますね。 特に、人口減少、少子高齢化が進んで大きな問題が二つ起こるんです。それは、働く若い世代が多くて、福祉のサービスを必要とする高齢者が少ないというピラミッド型人口構造のもとに現在の社会保障制度というのはつくられているわけですよね。これがドラム缶型になり、逆ピラミッド型の人口構造に変わったら、今の社会保障制度は瓦解するんですよ。でも、そこにメスも入れずに、何とかなるんじゃないかということで放置しているから、財政出動が止まらないわけですよね。
だから、ここ数年、デフレからの脱却だ、財政出動と金融緩和をやった。普通それが正しければ、結果が出て、税収が上がって、減税や借金返済というのが普通の答えなんですよ。でも、逆に増税ラッシュになっているんですよね。何でこうなるかといったら、社会保障費の伸びが止まらないからですよ。だから、ここにメスを入れない限り大変なことになることを、もう早くやってほしいなというふうに思います。 もう一つは、人口が減少するということは、国内のマーケットは縮小するということです。僕、もともと商社にいたんですけれども、県庁で、そこを見越して営業本部というのをつくって、海外への販路開拓を先頭に立って今やっています。 そこの手をしっかりと打っておかないと、企業は、マーケットが小さくなるということは、昨日と同じことをやっていたら売り上げは落ちていく時代に入っていくということですから、これはもう大問題なんですね。 その観点から、大きなテーマとしてのマストの人口減少問題というのは、国としてどうするのかというのを、これは外国人の移住も含めて、考えるときが来ていると思っています。我々は国の立場じゃないですから、今、県のレベルで何ができるのかというのを一生懸命やっていくしかないというふうに思っています。