琴桜、初の年間最多勝確定 豊昇龍と21年ぶり大関同士の千秋楽相星決戦へ
○琴桜(上手投げ)●大の里(大相撲九州場所14日目=23日) 勝ち名乗りを受ける顔には、まだ取組の気迫が残っていた。琴桜が大の里との大関同士の一番を制して1敗を死守。同じく1敗の豊昇龍と千秋楽の結びで雌雄を決することになった。 1場所15日制が定着した昭和24年夏場所以降、大関同士による千秋楽相星決戦は6度目。平成15年名古屋場所の魁皇-千代大海以来、21年ぶりとなる。 この日の大の里戦は翌日につながる内容だった。琴桜は腰を少し上げてから勢いをつけて当たり、右はず、左上手の形に。じりじり押し込まれても安易に引いたりはしない。力強い上手投げで相手のバランスを崩し、土俵の外に放り出した。 「落ち着いて、しっかり取り切ることだけ考えていた。(体が)反応してくれた」。この投げのタイミングの良さは、相手の重心を感じ取れているからこそだろう。 これで琴桜の今年1年間の勝ち星は合計65。場所前まで4差を付けてトップに立っていた64勝の大の里を抜き、年間最多勝を確定させた。 自身初タイトルで弾みをつけ、勝負の千秋楽へ。 「意識しようが、しまいが、(状況は)変わらない。しっかり集中してやれば結果が付いて来る。やることをやるだけですね」 祖父である元横綱琴桜が初めて優勝を遂げたのは昭和43年名古屋場所、大関5場所目だった。同じ大関5場所目の孫、2代目琴桜が悲願の初賜杯を懸けて大一番に挑む。(宝田将志)