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日本人が知らない英国「コロナ病棟」のリアル

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東洋経済オンライン

 「この外科部門は準備が整い次第閉鎖になり、スタッフは全員、新型コロナウイルス感染の前線に異動してもらいます」。3月下旬に近いある日、勤務先の大学病院の外科部門で師長から部署全員が通達を受けた。「ついに来たか」。ある程度の予想はしていたものの誰もが動揺を隠せない。 【漫画】「コロナ対応の優等生」台湾人が日本に思うこと  3月5日にイギリス初の新型コロナによる死亡が発生すると、それまでの他人事のような雰囲気が一転、欧州ほかの国を追うようにイギリスでも感染と死亡件数は急上昇した。イギリスは新型コロナが発生する前から、看護師4万人、医師9000人が足りないと言われていた。そんな中でどうやって新型コロナ治療に向けた医療従事者を確保するのか――。

■コロナ治療に病院資源を集中  とうとう3月17日、国からイギリス中の医療機関に通達が出された。新型コロナ感染に対応していくための具体的な体制づくりに向けた方針かつ各医療機関への指示であり、その中には以下のことも含まれている。  1. 入院、集中治療室に備えて設備を最大化すること  不急な手術をすべて延期する。退院が可能な患者は地域医療に引き継いで早急に退院。これによりスタッフが新型コロナ感染対策の研修に時間を費やせる。独立セクター(プライベート病院など)の病床も活用する。以上の施策により、イギリス中で3万床を確保する。

 2. スタッフへのサポート、スタッフの活用を最大化すること  引退した看護師、医師の復帰要請。 医学生、看護学生の動員。 通常の専門業務を越える医療業務。  冒頭の師長からの通達は、この手紙の指示を受けた病院のアクションプランだった。  イギリス医療の軸であるNHSは、現在は税収とプライベート診療からの収入を得て、半民半官として運営されている。とはいえ国営色は強く、国からの統制を出しやすい。  不急とされる部門が次々に閉鎖・縮小されたことで手が空いたスタッフが、新型コロナ感染の前線に半強制的に回される代わりに、空いた部門での経済的損失(特にプライベート診療用の病棟、病床)は新型コロナ感染病棟として活用することで国が経済補償を約束した。

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