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写真家には「伝える義務がある」。新型コロナ危機の最前線に、フォトジャーナリストが立ち続ける理由

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ハフポスト日本版

2019年末に始めてその存在が報告され、その後に瞬く間に世界中へ広がった新型コロナウイルス。これまでに500万人以上が感染し、33万人以上が犠牲になった。 【画像】写真で見るザリーさん一家のストーリー 病に苦しむ患者や命がけで働く医療従事者など、最前線にいる人たちの姿を私たちの元に届けるのが、世界中のフォトジャーナリストたちが撮った写真だ。 ピューリッツァー賞を受賞したゲッティ・イメージズのジョン・ムーア氏も、感染者数が最も多いアメリカで撮影を続けている。 約30年にわたって世界の危機の最前線に立ってきたムーア氏。危険な状況であっても写真を撮り続けることは、社会にとって非常に重要な意味があると話す。

私たちには、撮影を続ける義務がある

危機的な状況で撮影を続けることは、なぜ大切なのでしょう?――単刀直入な質問への答えを、ムーア氏は「義務」という言葉を使って説明する。 「世界の危機的な状況を人々に知ってもらうために、フォトジャーナリストにはレンズの先にあるものを伝える義務があると私は思います」 そしてそれは、新型コロナウイルスで自宅待機が求められている状況でも変わらないという。 「新型コロナ危機の最前線で撮影した写真の多くは、胸が張り裂けるような現実を伝えるものです」 「しかし今起きていることを記録し、耐え難いほどの痛みを伝えること、そして人間の勇敢さや誰かの命を助けようとする英雄的な行為といった希望を伝えることには、とても重要な意味があるのです」 ムーア氏はこれまで、中東戦争やエボラ出血熱といった様々な世界の危機を撮影してきた。 最も有名な彼の写真の一つが、2018年にアメリカとメキシコの国境沿いで撮影した、母を見上げて泣く女の子の写真だろう。 トランプ政権は当時、入国書類を持たずに国境を越えようとする移民に対して「ゼロ・トレランス政策(一切容認しない)」をとり、親を拘束して刑事訴追する一方で、子どもたちは親から引き離して別の保護施設に収容した。 ムーア氏が撮影したホンジュラス出身の2歳の女の子ヤネラ・サンチェスさんは、拘束の過程で母親と一緒にいることができたが、母が国境パトロールに拘束されボディチェックをされるのを見て、泣き出した。 ヤネラさんが泣き叫ぶ写真は世界中のメディアに取り上げられ、多くの人がゼロ・トレランス政策に怒りの声をあげるきっかけになった。 そして写真が撮影されてから約1週間後の6月20日、トランプ大統領は親子をともに収容する大統領令に署名した。 この写真が2019年の「世界報道写真大賞」に選ばれた時、審査員のポール・モークレー氏は「写真は見ただけで私たちにストーリーを伝え、同時に強いつながりを感じさせる」とコメントしている。

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