人口予測から地域構想 14地区で活性化プラン 新潟県
新潟県は、農業をベースに多様な働き方で暮らす人を受け入れられるよう、中山間地域を支援する。14のモデル地区で、営農を維持するために必要な新規就農者数などを算出。これを基に、将来の営農の姿や農業以外で所得を確保する機会などを住民らで協議し、地区の活性化プランを作る。県は、地区の話し合いをチームで支えるJAや行政の担当者らの人材育成事業を始めた。 事業は村上市、三条市、長岡市、南魚沼市などにあるモデル地区で実施する。地区ごとにJAや市農政の担当者、普及指導員、集落支援員らが地域推進チームを結成。民間の持続可能な地域社会総合研究所が開発したプログラムで、農業就業人口や農家以外も含めた地区の人口について現状と将来予測を共有する。 農業就業人口や地区人口が今のまま推移すればどうなるのかや、各年代の定住増加人数、出生率や転出率の割合などを組み合わせて、将来がどうなるのかをシミュレーションする。これに基づき営農の将来像や所得確保の機会なども話し合い、地区の活性化プランを作る流れだ。 農業就業人口は2045年、地区人口は60年まで、5年刻みで予測する。例えば、20代の子連れ家族を1組呼び込めば、将来の地区人口や農業就業人口がどう変化するかなど、詳細な目標設定ができる。 地域にある住民団体や行政機関、商工や病院、農業法人、JAなどの組織を1枚の紙に示す「地元関係図」も作成し、人口分析とともに地域の現状を把握。現状と将来の予測を基に、中山間地域の営農継続に必要な人材の確保や定着に向けて、地域推進チームが各地区での話し合いを後押しできるようにする。 県は「集落の営農の実態を正確に把握し、地区に寄り添って地域振興を支援していく仕組みを構築したい」(地域農政推進課)と見据える。
日本農業新聞