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阿佐ヶ谷姉妹はなぜ愛される? 「ネタ」より「関係性」に萌える時代

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デイリー新潮

キーワードは「面白さ」より「仲の良さ」 阿佐ヶ谷姉妹の「薄味」のスゴみ

 ちょっと前までは「じゃない方芸人」というカテゴリーがあった。2人組を組めば、片方が人気で片方が地味だったり、片方が美形で片方がブサイクだったり。コンビだけれど個々人に持ち味が必要とされ、それぞれが切磋琢磨しながら、キャラや得意分野を持つことがお笑い界での成功則とされていた。

 しかし最近テレビでよく見る面々は、コンビ内格差を売りにしないコンビばかりだ。阿佐ヶ谷姉妹に限らず、千鳥もサンドウィッチマンも、EXITもガンバレルーヤも。みな雰囲気が似ていて、実に仲も良さそうである。  もちろん、ネタやキャラも面白い。しかし視聴者がついつい見てしまう理由は、ネタよりも彼らの関係性にあるのではないか。「面白さ」の前に、「仲の良さ」が買われている。コンビ内の風通しの良さが、見ている側にも爽快感や安心感を与えてくれるから。そう無意識に感じとる人が増えているように感じられる。

 個人的に阿佐ヶ谷姉妹は、ただのいい人ではない片鱗を見せるところが好きだ。歌うま芸人などでの、歌の上手さを自負している本気の目つきと歌い方。細かすぎて伝わらないモノマネで見せる、おばさんの奇妙さや悪意をすくい上げる観察眼。そういう確かな技術や主張の強さを、最終的には「上品な味」に仕上げるたたずまいは見事なものだ。  二人の印象は薄味と冒頭で述べた。思えば京料理しかり、選び抜かれた素材と細やかな技術が隠されているのが薄味の極致である。これみよがしの自己主張をせず、調和の取れた味わいを作り出すこと。それは江里子さんと美穂さんの関係性にもよく似ている。  薄味をまた別の言葉で言い換えるなら、疲れた時にしみる味、おかわりしたくなる味とも言える。薄味の凄みを体現する阿佐ヶ谷姉妹、コロナ禍でますます活躍することだろう。笑いは免疫力を高めるのに役立つとも聞く。うがい、手洗い、阿佐ヶ谷姉妹と言われる日もそう遠くはないかもしれない。 冨士海ネコ 2020年9月17日 掲載

新潮社

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