台湾富裕層の投資「不動」、中国圧力でも資産逃避せず=国泰金融
Faith Hung [台北 5日 ロイター] - 台湾の国泰金融控股(キャセイ・フィナンシャル・ホールディングス)は、中国との緊張が高まっているにもかかわらず台湾の超富裕層は保有資産を海外に移さず台湾域内に置いていると述べた。台湾ハイテク企業が堅調なリターンを生み続けるとみている。 中国の軍事的圧力が高まり、台湾からの資本逃避の可能性がたびたび指摘される。 国泰金融のプライベート・バンキング部門の最高経営責任者ロバート・フー氏は4日、ロイターのインタビューで、台湾の人々は冷静に対処するということを学んだと話す。「今のところ、顧客が口座を閉鎖したり、資産を海外に移すといった動きはみられない。一部にそうした動きはあるがトレンドにはなっていない」と述べた。 台湾に資産を留め置く主な要因として、急成長する人工知能(AI)産業における台湾積体電路製造(TSMC)などの台湾企業の重要性を挙げた。それが台湾での投資妙味を高めているという。 「今はバランスが不安定な時期だ。顧客は動くよりもその場に留まることを望んでいる。台湾が他の国が簡単には真似できない独自の技術産業を構築したおかげで、台湾株は(両岸の)緊張の影響をほとんど受けずに済んでいる」と述べた。「TSMCの米国や日本への進出によって、投資家は想像を超える成長の可能性を感じている」という。 TSMCの株価は過去2年間でほぼ3倍になり、台湾株価指数は77%上昇している。 現在、台湾のプライベート・バンキング市場ではUBSが圧倒的な強さを誇っている。フー氏は「5年以内に追いつきたい」と述べ、同部門の人員を来年10%拡充する予定だと語った。