「今シーズンの感謝を込めて」 小屋閉めって、めちゃ楽しい! 冬支度の立山へ
■おまちかねの最後の晩餐
利用者にとって小屋閉めの一番の楽しみは、一年間で最後の夕食だといっても過言ではありません。 この日も食事前にオーナーからのご挨拶後、各テーブルに並べられたピッチャーがふるまわれ、全員で乾杯! ビールがなくなっても、日本酒やアルコール缶がまだまだたっぷりと用意されていました。料理は、各人に用意された小鉢以外はバイキング。新鮮な刺身などの日本海の幸を心ゆくまでいただくことができました。 最近は、相部屋といってもコロナの影響もあってカーテンで仕切られていて、同部屋の初顔合わせの宿泊者と歓談する機会はほとんどなくなってしまいました。しかし、見知らぬ人たちでビールを注ぎ合うことで山談義も大いに弾み、素敵なひと時を過ごせました。 スタッフの方々も無事に一年間の営業を終えることができ、うれしそうな表情でいっぱいでした。様々な苦労があったかと思いますが、多くの登山者・観光客が心と体を休める空間を提供してくださったことに感謝をしながら箸を進めたのでした。 夕食後、外に出てみると、数えきれないほどの星が雄山上空に輝いていました。一番明るく輝くのは木星。その上に“すばる”もよく見えます。初冬らしい凛とした空気を吸い込むと体の芯から冷え込みます。すぐに温泉に直行したのでした。至福のひととき!! 翌朝は普段より早い午前8時がチェックアウト。その後、小屋閉めの最終作業を行い、昼頃にはスタッフ全員が山を下りるとのことでした。 これから立山の山小屋は、深い深い雪の中で静かな時間を過ごします。そして、来春、今度は残雪のスキーや登山を楽しみにくる人々を迎え入れてくれるはずです。 山小屋と関係者の皆さん、一年間ありがとうございました。また、来年もよろしくお願いいたします。 相田 俊(あいだ しゅん) ナチュラリスト 身近な自然に目を向けるのが好き。冬はテレマークスキー、夏は自転車も。バードウォッチング歴は45年を超える。
相田 俊